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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
追い日の雷雨






 

◆追い日の雷雨

 5月8日(木)は明け方から雨。調教がはじまる朝6時には雨脚がいっそう激しくなり、直後には雷まで発生。雷鳴とどろく最悪の天候となった。しかも、この週はトレセンの運動会があって火曜日が全休(馬を馬房から出さない完全休養日)の変則日程。普段は水曜と木曜に分散して行なわれる各馬の追い切りが、この木曜日に集中する形になった。降りしきる雨と響き渡る雷。そんな悪天候の下での追い切りラッシュ。2時間以上もそんな調教風景が続いたのだから、それはもう大変。

 競走馬も生き物、人間と一緒で雨が嫌いなヤツもいれば雷が怖いヤツだっている。泥んこの馬場を無理矢理走らされて嫌気をさして止まった馬もいれば、ビビッて馬房のなかで震えている若駒もいたほどだから、その雷雨がどれほど激しかったかがわかる。しかし、大変だったのは馬たちや競馬関係者だけではない。
 トレセンで傘をさして歩く人間は少ない。使用禁止ではないが、傘をささないのが基本マナーであることは暗黙の了解。ウマヤの前から飛びたつ鳩の羽音に驚き、低空飛行のカラスに脅える馬たち。そんな彼らは傘の動きや開閉、そして傘にあたる雨音さえ気にして飛んだり跳ねたりするのだから。
 それでは、取材陣はどんな格好をしているのかというと、小雨のときはジャンパーに帽子で済ませ、本降りの時はフード付きの合羽姿。こんな日に革靴なんてはこうものなら、半日もたずに靴がガタガタになる。現代人、都会人には無縁の長靴も、厩舎取材担当の記者には必要不可欠な馬装具(?)だ。もちろん、合羽に長靴姿でもビショ濡れ。見慣れた馬でも濡れ姿だと見間違い、仲のいい騎手とすれ違っても気づかないことさえある。

 5月10日、土曜日。今日の京都競馬は後半の7レース以降の全レースが万馬券(馬単)の大荒れ。10レースなどは馬単11万4320円、3連複23万8550円の大波乱となった。雷雨の影響で存分に調整できなかった馬たち、そして雨に泣かされて普段どおりの取材ができなかった記者たち。そんなモチベーションを失った彼らの無念が伝わってくるような一日だった。“追い日が悪天候の週は荒れる!”―競馬格言集の新たな1ページにそう書き加えようかとも思うが、せかずに11日(日曜日)の結果を見守ることにしよう。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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