12レース中10レースに騎乗して8勝する快挙。他の騎手はその時一体何をやっていたんだ、とお叱りのメールが小社に寄せられた。馬券的にまったく面白くないと嘆かれる。その1日がたまたま片寄り過ぎたのであり、公平に見てもある程度の技術さえあれば5勝はできている手駒だった。あとの3勝(北摂特別、ギャラクシーステークス、最終レース)については、多分に武豊の手腕に負うところ大であったと認めるにやぶさかでない。
翌日、中山へ出向いて8鞍に騎乗していた。阪神ほどではないにしても、すべて3番人気以上の支持を受けている。しかし、ご存じの通り結果は見るも無残な有様で、勝利を挙げるどころか最終レースにおける3着がその日最先着順位という花形ジョッキーのプライドをズタズタに切り刻むものであった。
所詮、武豊も人の子。テクニックだけで補えるものと、そうでないものがある。裏を返せば人気の盲点を上手に突いて行けば、予想外の好配当にありつけるということだ。闇雲に、武豊が乗っているからと蹴っ飛ばすだけでは芸も面白みもない。人気が馬の力に見合ったものか、それとも“武豊”の名前を拠り所としたものか、馬券検討の原点に則って冷静な分析を忘れないことだ。明と暗の対照をこれほど分かりやすく示してくれた例はない。12月7日と8日の武豊を機会あるごとに思い出して欲しい。来年は夏場を除き日本に腰を据えてレースをする予定だと聞いている。一喜一憂もあるだろうし、欣喜雀躍もあるだろう。ただし、各々方、悲運慨嘆の数だけは減らしたいものですなァ。では良いお年をお迎え下さい。
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