「地方騎手達の逆襲」大層なタイトルの雑誌が洋泉社から発刊された。アンカツがニッポン競馬を変える!! ときた。いや決して面白がって言っているのではない。一部ではあるが実現しつつあるものもある。中身はいたって真面目。個人的な見解として、安藤勝己のJRA新規騎手試験合格は99パーセント。落とす理由がないもん。この本は、そんな安藤の言動に触発されて受験を申請した川原、吉田稔、内田、小牧等を含めた地方競馬のトップジョッキーの横顔を紹介しているし、園田の小牧太と岩田康誠の対談も興味深い読み物だ。
しかし、何と言っても巻頭「1章」での安藤勝己のロングインタビューが秀逸。記者の立場で読んでいて楽しかったし、勉強になった。自分が彼等のレースと接し、常日頃考えていたこと、感じていたことに近い姿を、包み隠さずさらけ出して語っていたから余計にそう思えたのかも知れない。これを読めば、レースを見る目も変わるだろう。騎乗フォームのことで、重心が後ろ寄りか、そうでないかの違いについては、素人目にも判然としている。が、武豊や四位が、ハミを馬にくれてやる(勝負どころまでハミを意識させない)タイプなのに対し、安藤はハミを掛けて行くタイプ、この違いは馬の口の中でのことだけに外観では分からない。その辺のことも活字で読めば、何となくひとつの技術でもやり方の違いがあることがよく理解できるし、中央と地方のコース形態や、馬の資質の違いまでも浮き彫りにされており、いっ端のわけ知りになったような気分になる。もっとも、馬券の的中率アップに直結するかどうかは定かでない。
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