馬が帰ってきた日(前編)
2018年春季番組表に目を通した時に抱いた、ちょっとした違和感。それは、3回中山の2日目(つまり今週の日曜)に「美浦ステークス」の名前を見つけたことが理由でした。 美浦ステークスは2008年から昨年まで、暮れの中山で行われてきた1600万特別です。更に遡ると、それ以前は1000万条件の美浦特別として施行されていましたが、これもやはり暮れの中山開催。クラスや距離が変わっても、日程だけはずっと暮れの中山で定着してきたこの特別戦が、今年は突然3月に組まれていたのです。 ただ、今年の美浦ステークスは、美浦トレーニングセンター開設40周年記念≠ニして施行されます。トレセンの開設は昭和53年4月10日。開設を記念しての施行なら、やはり暮れではなく春の施行が相応しいのかもしれません。 さて、その昭和53年春。以前このコラムでも紹介しましたが、それまで約8000人だった美浦村にトレセン関係者が約5000人も加わって、村の人口は一気に1.6倍にまで膨れ上がりました。当日はトレセンの開場式、そして、入村者の歓迎式で大いに盛り上がったと伝えられていますが、開設の日を迎えるまではまさに紆余曲折、そこには様々な難題があったようです。 ここで、美浦トレーニングセンター発行『美浦トレーニングセンター10年史』、同『美浦トレーニングセンター30年史』、更には、トレセン開設20周年に美浦村から発行された『日本中央競馬会美浦トレーニングセンター開発の記録』を参考に、トレセン開設までの歴史を簡単に振り返ってみると……。
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