『開幕週の馬場考察』
開催替わり。頭の切り替えが大事。馬場について考察する。
まずは阪神から。 JRAによれば「第6回阪神(昨年暮れ)の開催終了後、蹄跡の多く付いた部分を中心に洋芝を追加播種(はしゅ・種まきのこと)し、1月中旬より約4週間全面シート養生しました。1月から2月にかけて厳しい冷え込みが続きましたが、シートの保温効果もあり芝の状態は概ね良好です」とのこと。では、昨年のこの時季がどうだったかを見ていく。
まずは芝。前開催(前年暮れ)が前4日Aコース、後4日Bコースで、1回阪神開催がすべてAコースで行われるのは同様だ。 最初のレース(新馬戦・2000m)で1分4秒5のスローだったにも関わらずシンガリ人気馬が2着に差し込み、馬単4万9440円の大波乱。初日の特別戦(1000万、マイル戦)でも13頭立ての13番手を進んでいた1番人気がアッサリと差し切り、2日目メインの阪急杯でもサンカルロがスカッと勝利を飾っており、開幕週でもまあ、「差し」が届いている。逃げた馬が馬券になったのは、土日通じてテイエムオオタカ(アーリントンC3着)、シシリアンブリーズ(新馬戦2着)、ロッカヴェラーノ(すみれS1着)の3歳限定戦での3頭だけ。阪急杯は前半3F33秒2、4F44秒8のハイペースになって1分20秒1の速い決着になったが、3歳500万の1200mで1分9秒7、古馬1000万のマイルで1分34秒7なら少し時計がかかっていると見るのが妥当か。
次にダート。JRA発表に特記事項はない。3歳の1200m3鞍がいずれも1分14秒台を要し、1800m2鞍が1分56秒台だったことから、かなり時計を要したのではないかと思われる(記憶力が良ければ断言できるところなのだが、悲しいかな、リアルに思い出せない)。古馬500万の1800mで1分54秒6、1000万の1分24秒5は、向かい風のキツかった昨年末の阪神最終日ほどではないにしても、重い部類といえそうだ。逃げた馬が馬券圏内に入ったのは4回(2、1、2、2着)。ペース、実力次第で差し、追い込みが台頭するケースも多々あり、決して差せない馬場ではなかった。
では、中山。芝から。JRAによれば「第1回開催終了後、馬場表面の凹凸修正、洋芝の追加播種及び肥料散布を実施し、コース全面をシートで養生しました。低温の影響で洋芝の生育が鈍く、回復の遅れている箇所がありますが、全体的には概ね良好な状態です」とのこと。暮れの開催でAコース(8日間)、年明けにCコース(8日間)が使用され、再びAコース(8日間)に戻り、こちらもコースの使用は昨年と同じだ。 初日の最初のレース(3歳未、マイル)でいきなり行った行った。次の新馬戦では逃げた11番人気の伏兵が3着に粘って複勝1590円。水仙賞が6番人気(単勝1480円)の逃げ切りで、最終レースの古馬1000万マイルは1番手、2番手、3番手につけた馬が3、1、2着に入線。翌日日曜も芝5鞍のうち3鞍で、先制した馬が2、1、2着。メインの中山記念でもキャプテントゥーレが2着に踏ん張っていて、CからAコース替わりの開幕週らしく、前残りが目につく。ただ、Aコースに戻り、年明け(Cコース)ほどは時計は速くないのかも。JRAの「低温の影響で洋芝の生育が鈍く、回復の遅れている箇所があります」を踏まえれば段々タフな馬場へとシフトする可能性はある。
そしてダート。阪神同様にJRA発表の特記事項はない。中山1200マイスターのティアップワイルドが初日の千葉Sで1分9秒8。この馬、年明けのジャニュアリーSに11年、12年の2年連続出走して1分9秒8と1分10秒0と似たようなタイム(いずれも良馬場)となっている。3歳未の1800mで大体1分57秒前後。1回開催に続いて雨の影響がなければ重たい馬場となりそうだ。
馬場を決めつけてかかるのは危険だが、ある程度は想定して臨むことは必要。阪神に関しては、脚質による有利不利はあまり深く考えず、実力重視の予想でいきたい。
栗東編集局 山田理子