『内有利の現実』
京都連続開催も今週でオーラス。馬場状態はいったいどうなのだろうか。 5回京都開催を明日に控えた10月7日(金)、現地に芝コンディションを視察に出向いた井上TMは「ビッシリ生え揃っているが、かつてないほどに草丈が短く見える」との旨を本紙担当者に報告していた。翌8日(土)は最初の芝のレース・2R2歳未勝利戦(芝1600m)でいきなり1分33秒4の2歳レコードが出て、準メイン・古馬1600万(芝2000m)でもアドマイヤコスモスが1分56秒8のレコードで走破。翌週以降も雨の影響を受けても基本的には速い決着が続き、大まかにいえば、5回最終週、6回開幕週以外は顕著な内有利の傾向が続いている。G1を回顧して例に取れば映像は浮かびやすく、秋華賞もエリザベス女王杯もマイルCSも、内を通った馬たちが上位を占めたことに容易に気がつく。
そして、以下が先週、19日(土)、20日(日)の1〜3着馬と4角の回ったコース取り。 京都5日目 (3R)雨・重 2歳未 芝1600m Mペース 1.タガノレイヨネ 最内 2.アシュケナージ 内 3.ジュディソング 大外★ (5R)雨・不良 新馬 芝1600m Sペース 1.エーシンフルマーク 最内 2.ジェンティルドンナ 大外★ 3.テストマッチ 大外★ (7R)雨・不良 2歳500万 芝1200m Mペース 1.ヒシワイルド 最内 2.サハラブレイヴ 最内 3.シゲルオレンジ 中 (10R)小雨・不良 古馬1000万 芝2400m Mペース 1.タニノエポレット 最内 2.ギュスターヴクライ 外★ 3.スズカスコーピオン 内 (11R)小雨・不良 古馬1600万 芝2000m Mペース 1.ダノンスパシーバ 外★ 2.ワンダームシャ 最内 3.テイエムクレナイ 最内 (12R)小雨・不良 古馬1000万(牝) 芝1800m Sペース 1.ドナウブルー 内 2.エスカナール 内 3.アグネスサクラ 内 京都6日目 (1R)晴れ・不良 2歳未(牝) 芝1600m Mペース 1.マイネボヌール 最内 2.プリュム 内 3.ファンタビュラス 内 (2R)晴れ・不良 2歳未 芝1200m Mペース 1.サチノポピー 最内 2.パーティブロッサム 内 3.ビップシャイン 最内 (4R)晴れ・重 2歳未 芝2000m Mペース 1.ククイナッツレイ 中 2.クランモンタナ 内 3.スナーククラウン 中 (5R)晴れ・重 新馬 芝1800m Sペース 1.サンライズマヌー 中 2.タガノキャンドル 外★ 3.アドマイヤレイ 中 (10R)晴れ・稍重 古馬1000万 芝1400m Sペース 1.ブラボースキー 最内 2.エーシンウェズン 中 3.ワイズリー 最内 (11R)晴れ・稍重 マイルCS 芝1600m Mペース 1.エイシンアポロン 内 2.フィフスペトル 最内 3.サプレザ 外★
4角で外、大外を回った馬(★印、4角の位置取りは本紙記録)は芝12レースの1〜3着馬のうち1着馬は1頭で、2、3着にも6頭が食い込んだけ。マイルCSについて補足すると、1〜8着馬の内訳は最内5、内2、外1となっている(ちなみに、★は不利な状況下の好走であり、次走以降は要注目。とりわけ新馬のジェンティルドンナ、テストマッチ、タガノキャンドルはすぐに勝ち上がれる素材と推察する)。 当然のことながら、馬場が均一に良ければ距離損なく内々を通るのが有利な立ち回りな訳で通常の開幕週がこのケースだが、19日(土)のようなどしゃ降りで馬場が均一に悪くなった場合も、同様に内が有利なようだ。レースの合間にインタビューを行う小原TMによれば、騎手の大半が「内が悪いというより外も悪いので、コースロスがない分、内が有利になっている。京都は上がりが速くなる傾向にあるから余計」という感触を持っているとのこと。また、通説の「雨の後は基本的には内から乾く傾向が強い」というのも実感としてあるといい、20日(日)がそのケースだった。
結論として「外からの差し、追い込みが決まる馬場状態」というのは、外に比べて内が荒れている状態で、なおかつ、ローラー整備されていない時に限られる。ならば、頻度は少ない。
私自身が外から猛然と差し切る姿に思い託して差し、追い込み馬の馬券を買うのは、もしかするとサンデーサイレンス全盛期の名残なのかもしれない。サラブレッドの一流どころといえばSS産駒だった時代。馬場や展開がどうであれ、秀でた瞬発力で他を凌駕する疾駆姿が強いサラブレッドの像として今もある気がしている。
さて、今週。パトロールビデオを見ても、内も外もないぐらいに芝は剥げて見える。先週、内目を通る馬が多かったから内の損傷は激しいだろうが、外がいいということもなさそうだ。現実を直視して、内有利を念頭に置いた馬券をコツコツ買うとしようか。
栗東編集局 山田理子