・ヴィータローザ ・サンレイジャスパー ・ダイシングロウ ・ドリームジャーニー ・ミヤビランベリ ・レインダンス ・ワンモアチャッター
祇園祭が終わったあたりから急激に暑くなり、ここ1週間ほどは日中の最高温度が36度。つまり、人間の体温と大気の温度がほぼ同じという信じられない暑さが続いているのだ。直射日光を浴びる地点の温度はおそらく40度を越えているだろうから、これはもうサウナに入っているようなもの。無防備で長時間外に出ていると熱射病になるだけでなく火傷の症状まで引き起こし、それが皮膚癌につながる可能性まであるというのだから驚かされる。本来なら九州南部や沖縄にしか生息していないはずの蝶や昆虫が近年は関西や関東で目撃されるようになっているという話を聞くと日本列島の亜熱帯化が確実に進んでいることを実感する。このままの猛暑があと1ヶ月半ほども続くのかと考えると気が重くなってしまう。
ここ数日の食事メニューを振り返るとざる蕎麦、おろし蕎麦、やまかけ蕎麦、冷やしきつね蕎麦、冷やしうどん、冷麺、冷やしつけ麺、冷製パスタ……。昼夜を問わず思いつくまま冷たいものばかり胃袋に放り込んでいる。もちろん、夕食の際にはまず焼酎の水割り、冷酒(日本酒)、バーボンの炭酸割りなどをチビチビ流し込むことからスタートしているのだから、こんなバランスの悪い食生活を続けていると下痢をすることはあっても夏を乗り切るだけのパワーなど身に付くはずがない。判ってはいるのだが、あまりの暑さにめげてついつい楽な食生活に走ってしまうのが現状。このままでは無事に秋を迎えられるかどうか不安である。
珍しくかなりの雨が降った休日の28日はとても外出できるような状況ではなかったため、録画したまま放置していたここ2ヶ月分ほどの『探偵ナイトスクープ』を観て笑い転げた。そして翌29日夜は家用PCのアドレス変更メールを作成して友人、知人合わせて20名ほどに一斉送信したが、数名宛てのメールが戻ってきた。やむなくその数名に電話してみたところ電話もつながらない。よく言えば型に嵌らない奔放な生き方をしている人種が多い私の友人たちだが、裏返せば如才なく生きて順風満帆な人生を送っている人間はほんのひと握り。幾つになっても不器用で生きるのが下手なやつらばかりなのだから消息不明ともなるといろいろ心配になる。
「6月末に入ってきた2歳がええ雰囲気なんで楽しみにしとったら、すっかり元気がのうなった。カイバも食えへんし汗も全然かけへん。獣医さんに診てもらったら夏負けやて言われた。テキとも話し合ったが、成長期に無理させたらアカンいうことで意見が一致。しばらく放牧に出すことにしたが、いまは日本中どこに行っても暑いから油断でけへん。サラブレッドいうのんはもともと寒冷地の生きモンやから、関西のキツ〜イ暑さはとくに応えるんやろ。景気は悪いし夏は暑過ぎる。どうも最近は頭の痛くなることが多いワ」
これは知り合いのベテラン厩務員のボヤキ。「走りそうな2歳が入ったからたまには厩舎にでも顔を出しいな」と電話で誘われてその気になっていたら、愛馬が夏負けになったので放牧に出したという。再入厩は涼しくなる秋以降の予定らしい。穀物飼料や原油の価格高騰はカイバ代や輸送費といった経費にストレートに響いているだろうし、それに加えてこの猛暑の襲来。競馬サークルも厳しい夏を迎えている。昨年は小倉の開幕初日に台風が上陸し、新潟競馬の期間中には地震が発生。そして馬たちの体力が落ちた8月中旬にはインフルエンザ罹患馬が続出。全場で開催中止に追い込まれた。今年も間もなく台風の発生件数が増える季節がやってくる。自然災害ばかりはなかなか未然に防げないが、なんとか平穏にしてノンビリ競馬を愉しめる夏であって欲しい。
競馬ブック編集局員 村上和巳
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