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今週の宝塚記念が終われば関西もいよいよ本格的な夏競馬に突入する。夏競馬の目玉といえばやはり新馬戦だが、唐突にJRAから発表された“メイクデビュー”という愛称には首を傾げざるを得ない。先週からはじまった新馬戦をグリーンチャンネルで見ていると“メイクデビュー福島”“メイクデビュー阪神”とアナウンサーが連呼。あの実況には正直うんざりした。“新馬”は実に単純明快な言葉であり、それに対して“わかりにくい”と理由をつけて“メイクデビュー”に置き換えようとする関係者の発想はあまりに陳腐。私には到底理解できない。“新馬”という言葉には、初々しさ、夢、可能性と様々なイメージが含まれていて競馬用語のなかでは気に入っているもののひとつ。新馬をわかりにくいというなら“朝日杯フューチュリティS”や“阪神ジュベナイルフィリーズ”などのレース名の方が余程わかりにくい。いまからでも変更前の“朝日杯2歳S”や“阪神2歳牝馬S”に戻した方がシンプルでいいと思うのだが、いかがだろうか。日本に根付いた競馬文化を守ろうとするのならば安易に横文字オンパレードのレース名をつけずに長く受け継がれてきた日本語をもっと大切にして欲しい。こんなキャンペーンを行ってひと握りの若いファンを獲得できたとしても、その代償として長く競馬とともに歩んできたファンを失うことにさえなりかねない。JRAは皮相ばかりに捉われた小手先の戦略に走らず、もっと腰を据えた本質的な改革に取り組んでもらいたい。まだまだ問題は山積しているのだから。
6月18日、水曜日。午後4時からJRAトレセン事務所の大会議室で記者説明会が行われた。その内容は『走行妨害及び制裁に関わるJRAホームページへの掲載について』というもの。週刊競馬ブック安田記念号で『ファンにわかりやすい裁定システムを』と題して(1)裁定についての説明責任について(2)ルールを明確に(3)裁決の構造改革を、と書いた立場を考えて今回は参加すべきだろうと判断。時間ギリギリにトレセンへ車を走らせた。4時10分前に大会議室に着いたときはマスコミ関係者は私ひとりだけ。いささか拍子抜けしたが、4時を回ったあたりで7、8人の日刊紙記者が顔を出して説明会がスタート。前述のタイトルにあるように、その説明内容は走行妨害と制裁についての判断基準をホームページに公開してファンへの浸透を図りたいというもの。オークス後にファンから「判断基準がわかりにくい」とする声が数多くあったために重い腰を上げたのが実情のようだが、ホームページに公開したことだけで説明責任を果たしたとせず今後もあらゆる場所で広くルールについての広報活動を続けて欲しい。常にファンの立場に立ち、彼らが納得して馬券を買える環境をつくるのが主催者としての義務でもある。その意味においてJRAが素早くアクションを起こしたこと自体は評価していいと思う。
この説明会は1時間弱で終了した。当初はあくまで説明を聞きに行くだけのつもりでいた私。参加した他の記者はほとんどが30代で面識のない人物ばかり。こういった公的な場での質疑は競馬の次代を担う立場にある彼らに任せておくべきだと自分自身に言い聞かせて聞き役に回っていたが、沈黙を続けていたのは最初の30分ほどだけ。気がつけばラスト20分ほどは一人でひたすら持論を展開していた。それも切れがある弁舌というよりはダラダラとまとまりのない論調の発言を繰り返していたのだからいただけない。思い出すたびに忸怩たる気持ちになるが、それでも静聴してくれた公正室、関西広報室、そして日刊紙記者の関係者の皆さんには心から感謝しつつ、競馬の将来を憂うる気持ちがあればこその多弁として理解していただければ幸いである。
最後に今週の話題をひとつ。6月27日に大阪ミナミのGateJ.で『宝塚記念を楽しもう!』という公開トークがある。実は仕事が早く片付けばこのイベントに顔を出したいと思っている。というのは、ゲストが有吉正徳さんと小山浩子さんという私にとって縁のあるおふたりだから。有吉さんは週報の『一筆啓上』でもお馴染みの朝日新聞の競馬記者。先日も突然にして無礼なお願い事をしたにもかかわらず快く引き受けていただいて恐縮したばかりだが、その温かい人柄に触れると心が休まる。ベテラン記者らしい味わい深いトークで盛り上げてくれることだろう。一方の小山さんは私が競馬中継の解説をしている時代にアシスタントとして競馬番組にデビューした女性。当初は競馬をまったく知らなかったため長続きしないだろうと思いつつ特訓を繰り返した記憶があるのだが、持ち前のセンスの良さと明るさで短期間でレギュラーの座をつかむに至った頑張り屋さん。言ってみれば“村上学校”の卒業生(とはいっても他に生徒らしい生徒はいない)でもある。このふたりのトークならまず退屈することはないはずで、できれば勝手に飛び入りでトークにも参加したいほど。しかし、今週は宝塚記念があってしかも函館開催2週目。結局は会社で通常業務に追われるのは間違いなし。断念するしかなさそうだ。もし、時間に余裕がある方がいらっしゃれば、私の代わりにGateJ.へ行ってみることをお勧めしたい。
競馬ブック編集局員 村上和巳
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