・ウイントリガー ・タケミカヅチ ・ダノンゴーゴー ・ドリームガードナー ・ドリームシグナル ・マヤノベンケイ
・スリーアベニュー ・タイセイアトム ・トウショウギア ・トロピカルライト ・ヤマノルドルフ
12月23日の有馬記念とともに2007年のJRAの全日程が終了した。年末の土日(29、30日)には中央競馬の開催がなかったため、競馬ファンにとっては例年よりも長い年末休みとなった。しかし、生き物が取材対象の現場取材班に長期の連続休暇はない。競走馬がいる限りは毎日調教があり、調教がある限りは時計を採ったり気配を確認したりすることが必要となってくる。競馬専門紙各社の調教斑は毎朝トレセンの調教スタンドに出向き、取材班は年明けの想定表を作成するために各担当厩舎を回る。そんな業務が12月31日まで続くのだが、こういった日々の地道な取材の積み重ねによってデータ満載の競馬新聞が作られるのである。
と、ここまでは形通りに話をまとめたが、私の場合は24日から31日までの間に出社したのはたった二度。それもメールチェックと業務関連の電話を数本入れただけ。どちらも1時間ほどで業務を片付けてさっさと退社していた。なんと会社にいた時間よりも往復の通勤時間の方がはるかに長かったのである。残る日々は食っちゃ寝、飲んじゃ寝の繰り返し。怠惰に過ごした。現場時代には私だって年末の休日を返上してトレセンを走り回っていたと言い訳してみても、いざ振り返ってみると当時は大半が忘年会のはしごだったような気もする(汗)。それはそれとして、ここからは年末年始に交流があった元騎手たちの話を少しだけ紹介してみよう。
「いやだなあ、太った太ったって言わないでくださいよ。パワーアップしたんですから」
忘年会の時期にある店で偶然に顔を合わせた松永幹夫調教師。年齢を重ねても爽やにして凛とした雰囲気なのは相変わらずだが、以前とくらべると頬っぺたが幾分フックラとしておなかのあたりになんとも渋い貫禄が出てきた。「年齢と立場を考えればそれぐらいでいいよ。いままでが細すぎたんだから。でも、これからは腹回りを狙って肥満という敵が襲ってくるぞ」と嬉しがって冷やかした私であった。
「いまでもレースに乗ってる夢を見る。でも、夢のなかでは一度も勝ったことがない(笑)」
JRの車内でバッタリ出会った河内洋調教師とは昔話から競馬が抱えている問題点に至るまで、延々と会話に熱中した。そんななかで出てきたのが上記のコメント。30年近くも馬に乗り続けたのだから現役時代の記憶がそう簡単に途切れるわけもない。“夢のなかでは一度も勝ったことがない”との話はいつも冷静沈着だった彼らしい。12月の中旬に会ったときは手首を骨折していたのに年明けにはもう調教に復帰しているのだから凄い。自分で管理馬の感触を確かめたいのかもしれないが、若くはないのだからあまり無理はしないで。
「コラム読んでます。私は毎日、楽にマイペースでやってます」
これは今年届いた年賀状の一枚にあった添え書き。私の競馬観に大きな影響を与えた人間から届いたものである。“う〜ん、ヤツが読んでくれているのは嬉しいが、そうなると今後は騎手の技術論やレース分析などは気楽に書き殴れないな”と柄になく一瞬緊張したが、いまさら少々取り繕ったところで私自身が急にレベルアップする訳もないという当り前のことに気付いた。結局は今年も思うまま感じるままに好き勝手な原稿をこのコラムで書いて一年が過ぎていくことだろう。内容に対する叱責でもいいし、一緒に酒を飲もうかという誘いでもいい。気が向いたらいつでも連絡しておいで。話したいことは山ほどあるのだから。
競馬ブック編集局員 村上和巳
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