・アロマキャンドル ・エイシンパンサー ・エイムアットビップ ・エフティマイア ・オディール ・カレイジャスミン ・トールポピー ・トラストパープル ・ヤマカツオーキッド ・ラルケット
河内洋調教師の声を久々に聞いた。というか、こちらの一方的な都合で日曜日の夕方に突然電話をかけたのだが、「ああ、ひさしぶりやね。どうしたの、こんな時間に?」と嫌な顔ひとつせず対応してくれた。JRA発表と実態との平仄が合わず、緊急に事実を確認したかったため週刊誌の印刷に入る直前に連絡を入れたのである。「事実関係の間違った記事や憶測記事を書かれるのは困る。だから気になることがあったら問い合わせてくれるのは構わないよ」と言いつつ細やかに状況説明をしてくれただけでなく、電話を切り終わった数分後には改めて「まだ締め切りに間に合うようなら、もうひとつ付け加えた方がいいかなと思って」と補足の電話をいただいた。ギリギリのところで事実誤認記事を掲載する危機を回避できてまずは安堵した。騎手時代からそうだが、誠実にして寛容な精神の持ち主である彼にはことあるごとに助けられてばかり。どこかでお返しをしたいが、なかなか思い通りにはならない。河内厩舎の管理馬がビッグレースを制覇しようものならいつでもカラーページで特集を組もうと勝手にプランを練っている私。早くその機会がきて欲しいなと思っている。
藤田伸二騎手から葉書が届いた。内容はいわゆる挨拶状の類いである。目を通し納得してそれを片付けたが、翌日にも同じ葉書が届いた。二枚を並べてみても一字として違わない。そういえば、ある年を境に彼から同じ年賀状が二枚届くようになった。どう見ても一枚の年賀状なのにやけに重量がある。不思議に思って表裏を見直しているとそれがパラリとめくれて二枚になったのが最初。間違い探しかと必死で見比べた様子をこのコラムで紹介したところ、どこかでその話を耳にした彼が、その後は意図的に二枚ずつ出すようにしたと解釈しているのだが、年賀状以外の葉書が重複して届いたのは初めてで、それも二日間にわけてのもの。もう少し様子を見守るべきか真意を問いただすべきか迷っているが、迷っていること自体が相手の術中に嵌っているのだろう(笑)。24日に6年連続100勝を達成した伸二。自らの行動が招いたとはいえ、長期間の騎乗停止を克服しての年間100勝はさすがである。“とんがってばかりでなく、もっと自分自身を大切に”―年頭の年賀状にそんな感じの言葉を書き添えたが、公私ともにフェアプレーの精神を忘れないで欲しい。それが本来の藤田伸二の姿なのだから。
大阪市に新しい市長が誕生した。その平松邦夫さんが毎日放送のアナウンサーだったのはご存知だと思うが、彼は競馬とも深い関わりがあった人物である。私が競馬ブックに入社して現場記者として競馬場を走り回るようになったのは1977年だが、当時の毎日放送ラジオの競馬中継スタッフに平松さんがいらっしゃった。番組でご一緒した記憶はほとんどないが、競馬場内の毎日放送のブースでは幾度かお話をさせていただいている。いかにもアナウンサーという感じのソフトな物腰で人柄も実に温厚。周囲から全幅の信頼を集めていた。1972年から1984年までの12年間、競馬中継のスタッフを務めたのだが、当初は競馬が市民権を得ていない時代。かなりの苦労を積まれたことだろう。当選後のインタビューをテレビ画面で拝見したが、髪の毛こそ真っ白(私より3歳上)になっていても、柔らかい独特の笑顔は昔のままだった。ホームページを拝見したところプロフィール欄の失敗談に『競馬中継で着順を間違えたこと(西陽を正面から受ける最後の直線で色が反射で分からなくなり、間違えました)』とあって、懐かしい昔の一場面が甦ってきた。競馬中継の実況を担当していたアナウンサーの方が政令指定都市の市長になったというのは競馬に関わる人間として嬉しいことである。大阪市の逼迫した財政状況や市議会の勢力分布(野党優勢)を考えると新市長の今後についてはとても楽観できないが、平松さんらしい芯の強さとバランス感覚の良さで新たな道を切り拓いていくことだろう。市政が軌道に乗った暁には一度阪神競馬場に姿を見せて欲しい。もちろん、レースを実況してくれとは言わないから(笑)。
競馬ブック編集局員 村上和巳