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11月7日、水曜日。今週はエリザベス女王杯で次週がマイルチャンピオンシップ、そして次々週がジャパンカップ&ジャパンカップダート。新聞、週刊誌、増刊号、携帯サイト&Webでそれぞれのレースの特集を組んだり先の予定を立てたり。関西ではこの週が下半期の最多忙週となるため、通常の水曜日よりも1時間早く家を出た。速やかに業務を処理しようと考えてのことだったが、JR草津駅の階段で女性のヒールで思いっきり靴を踏まれる不運。激痛を伴った暗雲の立ち込める1週間のスタートとなった。
出社した途端に「想定追加が3頭出た。すぐに会社には戻れないので誰かに追加入力してもらってくれんか」と厩舎取材班のベテランM記者から電話が入る。大半の人間がまだトレセンから戻ってきていないため、やむなく私が代行。コンピューターの端末で3頭の馬名、予定レース、騎乗者を打ち込もうとすると途中で想定入力画面が突然フリーズ。まったく動かなくなってしまった。本来なら2、3分で片付けられるものに30分以上を要してなんとか処理が終了したが、この段階で一日が平穏に終わらないのではないかという嫌な予感が生じた。
自分の机に戻ってデスクトップでメールチェックをしたところ、な、なんとメールの山。ファンからの問い合わせが数件あるのは普段の水曜と変わりないが、他にもJRA、弊社美浦編集部、サラブレッド血統センター、競走馬総合研究所、厩舎関係者、馴染みのライターと続き、それぞれに目を通して返事が必要なものには返信を繰り返す。その間に体験入社でやってきた大学生に課題を与えつつ、厩舎取材班が戻ってきた段階で各人から想定を確認して増刊用の女王杯及び週刊誌用マイルCSの厩舎レポ用の割り付けを決め、並行してJCの想定チェック。珈琲を飲む間もなく昼食タイムに突入し、すでに業務処理が大幅に遅延。偏頭痛に襲われる。
午後からは本来のペースで仕事をはじめたところに現場から「マイルCS予定の○○がやめます」との連絡が飛び込み、再度特集ページの練り直しに頭を悩ませる。それが終わって待望の一服。喫煙室で紫煙をくゆらせつつ珈琲を飲んでリフレッシュ。気を取り直して机に戻ると「さきほど届いたメールが文字化けしていて判読不能。貼付ファイルにして再送を」との連絡が入り真っ青に。送付した自分のメールボックスを調べると文字化けどころかまったくの空白ですべてが消失していた。高名な方へのメールとあって時間をかけて熟考し、推敲に推敲を重ねた文章(その割に平易でお気楽な文面になったが、これがまあいつもの私)だったのに……。改めてメールを書き、覚束ない手つきで何度か処理に失敗しながらもなんとかファイル貼付が終了。メールを再送した。そして、その後も細かいアクシデントの波状攻撃に合い、すっかり疲弊してしまった。
通常の水曜日は午後6時には退社するのだが、誤算続きだったこの日は会社を出たのが8時を楽に回っていた。JR手原駅に着いて、これでもうトラブルには巻き込まれんで済むとひと安心したところ、定刻を過ぎても電車がこない。10分ほど遅れて草津駅に着いたら、今度は「山崎駅付近の踏み切りに人の姿があったため、ただいま安全確認を行っております。それに伴って新快速も少々遅れる見込みですのでご了承ください」というアンビリーバボーなアナウンスが流れる。思わず眩暈がした。結局は午後10時過ぎに帰宅したが、もう精根尽き果ててアルコールを口にする元気もなかった。早々に食事を済ませ、ベッドに潜り込んだ頃にはヘロヘロのヨレヨレ。こんな不運なサラリーマンは世界中で私しかいないと落ち込みつつすぐに眠りに就いた。
11月7日は史上最多忙&最不運日だったが、その流れは週末まで尾を引いた。金曜日には体験入社のT君が激しい胃痛に襲われて病院へ。原因不明で胃カメラ、点滴と大騒ぎとなり、途中から私も病院に駆けつけた。研修中の若者を預かっている立場として放置できないのは当然である。幸い一過性の痛みということですぐに元気になってくれたが、それはそれで心配した。そして、日曜早朝には突然“ウオッカ取り消し”の一報が入り茫然自失。「ウオッカ1着固定の3連単」と自信満々に推奨した携帯サイト・推理のキーを必死で書き直した。
占いだとか神頼みだとかに一切関心はないが、ここまで悲惨な事態が続くと少々弱気になってしまう。今度の休みには石清水八幡宮にでも行ってみようかとも思うが、行き先が少々違うような気もする私である。
競馬ブック編集局員 村上和巳