・アイルラヴァゲイン ・アグネスラズベリ ・アストンマーチャン ・キングストレイル ・クーヴェルチュール ・コイウタ ・サンアディユ ・スズカフェニックス ・プリサイスマシーン ・ペールギュント
9月21日。通常業務を早めに処理して午後4時すぎに出発。めざすは大阪ミナミ。GateJ.が主催する下記の競馬セミナーに山田理子、坂井直樹両記者とともに参加することにしたのである。
『競馬とバイオメカニクス』 (1)馬の個性と教育 18:30〜19:00 楠瀬良(JRA競走馬総合研究所企画調整室長) (2)競走馬の心肺機能 19:00〜19:30 平賀敦(JRA競走馬総合研究所運動科学研究室長) (3)競馬とバイオメカニクス 19:30〜20:00 青木修(日本装蹄師会研究部長) JRと御堂筋線を乗り継いで難波駅に着いたのが午後5時半。時間に余裕があるのでまずは3人でミナミを徘徊。山田と坂井がなぜかラーメン屋とたこやき屋のチェックに余念がない。どうやら「ミナミだったらここがお薦め」と編集局の若手グルメ記者三浦幸太郎からアドバイスがあったようだ。指定店舗数件の場所を確認、セミナー終了後に改めて訪れることとして、しばし珈琲を飲んで雑談。ほどなく開場時間になりGateJ.へ。
馴染みの広報関係者が「今日はJRAの誇る三大看板を投入しました」と胸を張っていたように、楠瀬さん、平賀さん、青木さんといえば競走馬の研究においてはそれぞれが国際的な権威であり、いわば世界のトップレベルにある研究者たち。その講演はさすがと思える密度の高いものだったが、驚かされたのは内容だけではなかった。それぞれが聞き手の気持ちを巧みに引きつけつつソフトで判りやすい解説を展開。日頃から研究発表などで人前で話す機会が多いだろうことは想像できたが、話術に長けたその様子には感服した。これだけの豪華な顔ぶれが一堂に会したのだから最低でもひとり1時間、できれば2時間ぐらいは話を聞かせて欲しかったというのが実感であり、この気持ちは私だけでなく参加した他の人間も同様だった。
セミナー終了後は講演者、主催者に挨拶を済ませ、下調べした件の店で夕食。その後は心斎橋のバーで山田、坂井と軽い打ち上げをした。競馬専門誌に所属する人間はともすれば的中至上主義に陥りがちだが、単に予想や馬券の当たり外れに一喜一憂するだけでなく、競走馬の本質について考察することが必要となってくる。今回のセミナーに参加してみて馬学の基礎知識を学ぶことの重要性を改めて痛感した。そして、1時間ほど経った段階で通常業務を残している二人を先に帰し独りでギネスを飲んでいるところに知った顔が現れた。
ライターの芦谷有香さん(以前に週刊競馬ブックでJRA競走馬総合研究所を取材)と広報室のMさんに連れられてバーに現れたのは、な、なんと本日のセミナーの主役・楠瀬、平賀、青木の三氏だったのである。一瞬は緊張しながら改めてご挨拶したが、その後は時間の経過とともに確実にリラックス。気がつけば三大看板の皆さんが相手にもかかわらず競馬についての自論を延々と語る思慮浅薄にして怖いもの知らずの無謀な私であった。そんな私に対しても、あくまで知的で品格を感じさせる言動で接してくれた皆さんには心から感謝している。日付が変わってしばらくしてこの愉しい三次会が終了。各人はホテルへ、そして自宅へと去って行った。
地下鉄、JRの終電が出た後とあって「これからどうされるんですか」と気遣ってくださる方もいたが、「朝まで飲むかインターネットカフェにでも行くか。なんとでもなります」と返答。相手は「こういった状況に慣れてらっしゃるんですね」と納得されていたが、実はここからが大変。今回は緊張感を持ってセミナーに参加すべくスーツ&ネクタイ姿にしたが、会社を出る際に上着をハンガーにかけたまま忘れて電車に飛び乗っていた。そのポケットには携帯電話、財布、カードが入っており、私が所持していたのは偶然定期入れに入れていた千円札数枚だけ。それもここまでに大半を使い果たしていたのだからもう最悪。こんな状況下でも構わず深夜まで飲み続ける楽天的な自分に溜息が出たが、それでも午前2時半にはなんとか自宅にたどり着けたのだからなんとも不思議である。どうやって帰ったかについては……、あまりにみっともないのでここでは触れずにおこう。
最後に、今回のセミナーを企画、実現されたGateJ.及び関西広報室の関係者に心から感謝するとともに、今後もマスコミに対してのこういった学術的な知識を身につけられるイベントを増やしていただきたい。自戒も込めて言うのだが、日本の競馬ジャーナリズムはまだまだレベルアップが必要だと思えるから。
競馬ブック編集局員 村上和巳