・アイルラヴァゲイン ・クーヴェルチュール ・サチノスイーティー ・ジョイフルハート ・シルヴァーゼット ・スピニングノアール ・ナカヤマパラダイス
1年数ヶ月ぶりで顔を出した松田博資厩舎。アドマイヤムーン担当の馬場調教助手に挨拶をしつつ「いやあ、一年顔見なかったら、やっぱり違うな。精悍ないい顔つきに変わってる」と馬房から顔を出している黒っぽい鹿毛馬の鼻面を撫でていると、「そら顔が違って当然やろ。それはミリオンでこっちの馬房がムーンやからな」と冷たいひと言。相変わらずクールな馬場ちゃんだった。というか、相も変わらず間抜けな私だったのだが、「初めてきた人間はみんなこっちがムーンだと間違える。未勝利やけど、馬っぷりなんかはこっちの方がいいくらいやからな」とフォローしてくれた彼。その優しさが嬉しかったので7日(土曜日)の6レースに出走してきたアドマイヤミリオンを単勝を買って応援したところ、見事に期待に応えて勝ってくれた。たまにはトレセンへ顔を出して人や馬とのつながりを持ち続けないといけないと思った瞬間でもあった。
カラーページのレイアウトについての打ち合わせで画像制作局に顔を出したところ、各スタッフがモニターに向かって一心不乱に仕事をしている。カメラマンの長島緑朗クンと四斗真宏クンの背後に回ってふたりの肩をお気楽に叩きつつ「いつも熱心やな。最近は君らがいい写真を撮ってくれるから、グラフに活気が出てきた。これからもその調子で頼むよ」と先輩風を吹かせた私。ところが、長島クンだと思った右側の男性の背中に違和感がある。あれ?っと思ったときにその人物が振り向いて「相変わらず元気がいいな、村上君」とひと言。な、なんと、右側のモニターに向かっていたのは画像制作局の総責任者のOさん。私など足元にも及ばない偉い方だったのだ(大汗)。「いやあ、あまリOさんの背中がお若いので、ついつい間違えてしまって……。大変失礼いたしました」と場を取り繕ったが、周囲のスタッフは腹を抱えて大笑い。勤勉な雰囲気を完璧に壊してしまった。
目覚ましを止めて二度寝してしまったため、朝食抜きで電車に飛び乗った金曜日。地下鉄からJRに乗り換えてホッとひと息。鞄から競馬の資料を取り出してつり革片手にそれを眺めていると、周囲の乗客のかなりの視線がなぜか私に注がれている。それも女性ばかりなのである。ROCK喫茶をしていたその昔、定員が25名ほどの店に30人以上の人間が詰めかけたことがあった。それもすべてが20歳前後の女性で、カウンター内で珈琲をたてながら目のやり場に困った当時の記憶が甦る。“幾つになっても女性に縁があって困るよな”などと鼻の下を長くしながら改めて周囲を見直すと、注がれている視線は非難めいたものばかり。しかも、他にひとりとして男性の姿がない。『アッ!』と気付いた私は資料を鞄に戻してそそくさと隣の車両に移動した。なぜかというと、私が飛び乗ったのは……時間限定の女性専用車両だったのである。
週刊誌の一筆啓上は10名(プラス私)に担当していただいているが、多忙な方が多いので2週前にファックスやメールで締め切り予告をしている。この連絡係も私の仕事なのだが、7月4日(水)の昼になってドキッとしたことがあった。9日発行号の執筆者に2週前予告をしていないことに気付いたのだ。原稿締め切りまであと3日しかないと焦って担当者を調べたところ、なんのことはない。次の担当は私自身だった。予告の必要がなかったのは幸いだが、テーマもなにも全然考えていないまま残り3日。水、木と資料を集めて金曜の夜になんとか原稿を書き終えたものの、土曜日になってテーマと資料が微妙に食い違っていることが判明。大慌てで土曜日に原稿を書き直す破目(涙)になって七転八倒。もうクタクタのヘロヘロになった。
土曜の夜は家でグラス片手にNHKBSの“日めくりタイムトラベル”を見ていたが、3時間という長さとあまりにNHK的な番組構成に退屈。お目当ての武豊特集の前にダウンしてしまい、番組終了後に取り組むつもりだったこのコラムの原稿書きも当然延期。日曜朝になって苦しまぎれにこのNG特集を考えた次第。万が一に好評だった場合には次の機会に続編をなんて考えているが、こんな原稿が好評になるわけもないだろうな。
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP