・アサヒライジング ・ウイングレット ・サンレイジャスパー ・ニシノフジムスメ ・マイネサマンサ ・マドモアゼルドパリ
・アストンマーチャン ・クーヴェルチュール ・ニシノマナムスメ ・ハギノルチェーレ ・ベリーベリナイス
「ごぶさたしてます、競馬ブックの村上です。なんというか、まあ、久しぶりですね。そうだ、このたびはおめでとうございます。実はですね、週刊競馬ブックでは例年この時季に新規開業調教師のインタビュー記事を順番に掲載させていただいておりまして、今日はその件で電話をした次第です」
「なにをいってるんですか、村上さん。本来おめでとうは去年、僕が調教師試験にパスしたときに言ってくれるべき言葉じゃないですか。たしかあのときは知らん顔してましたよね(笑)。もちろん取材そのものには協力させてもらいますが、ひとつ質問です。当然村上さんも取材の場には顔ぐらい出してくれるんでしょうね?」
5、6年ぶりに電話を入れたところ、日頃の私の無礼を軽妙に指摘しつつも寛容の精神で取材申し込みを快諾してくれた梅田智之調教師。私が厩舎取材を担当していた頃には西橋豊治厩舎で調教助手をしていた彼。取材上で何度も何度も助けてもらったのにここまで連絡も入れなかった無礼をお詫びします。失礼しましたウメダ君、じゃなかったウメダ先生。取材には立ち会えませんでしたが、これからはなるべく、いや時々、まあ、たまには顔を出したいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。そういえば、同じく5、6年ぶりに電話した小崎憲調教師もご協力くださってありがとうございました。ちゃんと私の携帯電話の番号を登録したまま残しておいてくれたその優しさには感激しました。皆さんのこれからの活躍を大いに期待しています。
「本日、優駿で玉稿を読ませていただきまして……」
これはあるベテラン作家からいただいたメールの一部分。職務上で年に何度かは連絡を取っている方なのだが、文末の“玉稿”の二文字を見て錯乱状態に陥った。よりによって私の書いた原稿をギョ、ギョ、ギョッコウとはなんとも恐れ多い。“お前の駄文を嫌々読んで”とか“拙文に仕方なく目を通して”と書いてもらえれば冷静に対応できるのだが、ギョッコウという字面と独特の雰囲気に思わず過敏になってしまった。私自身の常識のなさや敬語に対する知識の乏しさが過剰反応の原因なのかもしれないが、人生の大先輩にこのようなきちんとした言葉を使われると穴があったら入りたくなって焦りまくる。
恥の上塗りになるのを承知の上で詳細を説明すると、優駿3月号になぜか私の“必殺・昔話”が載っている。優駿編集部の勘違いか電話のかけ間違いかとも思うが、な、なんとこの私に執筆依頼があったのだ。その原稿とは『至極の一枚』という馬券の思い出を書くリレーコラム。アカデミックな原稿依頼なら尻込みするのだが、馬券絡みのお気楽ネタなら原稿用紙50枚でも100枚でもすぐにその気になって書ける。今回は4枚でいいというので安易に受けて30年前の私生活を原稿にした。送っていただいた掲載誌を読み直して赤面してしまった。よくもまあこんなとんでもない人生を過ごしてきたなと思うが、すべてノンフィクションなのだから言い訳しようもない。
暇を持て余して困っている方や私の昔話でも読んでやろうかという物好きな方がいらっしゃるなら、ぜひ最寄りの書店へ足をお運びください。馬券の調子のいい方は優駿と週刊競馬ブックとの二冊を購入していただければ幸いです。そうでない方は……、できるなら前者を立ち読みで済ませて、後者の方をしっかりと購入していただければと考えておりますが、いかがでしょうか。
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP