・カネツテンビー ・ステキシンスケクン ・ダイワメンフィス ・テイエムチュラサン ・ホーマンテキーラ ・レイズアンドコール
「あと1ハロンの地点で差し切ったなって思った。相変わらず切れ味を引き出す騎乗は完璧だな。左手人差し指を軽く突き立てたVポーズもなかなか格好良かったぞ。重賞勝ちおめでとう」 「ありがとうございます。今年はもう重賞を勝てないんじゃないかなって思ってたから、この1勝は嬉しいですね。またアドバイスよろしく」
13頭立て13番人気のビーナスラインに跨ってアンビリバボーな末脚を引き出した秋山真一郎騎手。鮮やかな函館スプリントS制覇に嬉しくなってお祝いメールを送った。昨年トレセンで会ったときに「騎乗ぶりが厳しくなった。隙がなくなったな」と声をかけたところ「扶養家族ができたことですし、しっかりしないとね」とニヤリとした彼。自信に裏打ちされたその表情に成長の跡を感じた。デビュー当初は「素質はあるんだが、きちんと相手の目を見て話せないのがいかん」と所属の野村彰彦調教師が渋い顔をしていたものだが、そんな線の細さもすっかり解消。結婚して更なる充実期を迎えており、悲願のJRAG1制覇もそう遠くはなさそうだ。
「それは間違いです。競馬新聞は参考データを提供し、社としてのレース予想を掲載しているもの。あくまで参考データで、あくまで予想なんです。答、つまり、レース結果が書いてあるわけではないんです。馬券は、あくまでご自身で推理し、決断して購入するもの。だからこそ面白いんじゃないですか。えっ?答を書けって。それは無理な注文です。なんですか、馬券が外れて損をした?ギャンブルの結果はご自身が責任を負うもの。文句を言われても困ります。えっ、納得できない?そんな方は馬券を買う資格も競馬を愉しむ資格もありません。だから……、もう話しても無駄、切りますよ、電話。いいですか、切りますよ(ガチャン)」
久しぶりに感情的になった。基本的に競馬ブックの愛読者の方からの電話には誠意を持って対応している。初歩的な質問から提言、苦情といったものには真摯な態度で接しているつもりだが、年一、二回はとんでもない電話がくる。馬券で負けた憂さ晴らしや最初から喧嘩腰で罵詈雑言を浴びせてくるものが。今回は「(予想を)信じて買ったら馬券が外れた。責任を取れ」という昔にタイムスリップしたような内容。それで上記のような返事になったのだが、苦情処理係になってこちらから電話を切ったのは二度目の経験。頭に血がのぼった自分については反省しているが、あれ以上は会話が成立しないのだから仕方がない。
中田英寿が自身のホームページで現役引退を発表した。ワールドCのブラジル戦を終えてピッチに倒れて動かなくなった姿にひとつの時代の終焉を感じたが、それがこうも早く現実のものになるとは思っていなかった。サッカーに関してはまったくの素人ながら、イタリアに移籍した中田のセリエAデビュー戦(対ユベントス)はWOWOWで観戦して熱狂。夜遅くに何度もテレビの前でガッツポーズを繰り返した。あれから約8年、怪我をした影響もあるのだろうが、以前の輝きを失った彼が選手生活に区切りをつけたのは当然の成り行きだったとも思える。覚悟はしていたものの、日本サッカー界を代表する孤高のファンタジスタの引退は哀しい。
7月2日(日)の京都競馬第6レースでヒカリクロメートが勝った。3歳未勝利の地味なレースではあったが、管理する松永昌博調教師にとっては記念すべき初勝利だった。厩舎を開業してから4カ月、実に42戦目にしての初勝利だった。日頃からユーモアたっぷりの彼がどんなコメントをするのか注目していたところ、幾分控え目ながらも彼らしい楽しい言葉が伝わってきた。
「これでやっとひと区切りついたって感じかな。調教師としての勝ち星は騎手のときとはまた違う喜びがあり、責任もある。これからもひとつひとつ勝ち星を積み重ねていきたい。それにしても、42戦目か。まあ、自分で乗っていたらもっと早く楽に勝てていたとは思うけどね(笑)」
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP