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6月30日。早朝にセットした目覚ましが鳴り出す。慌ててそれを止めてベッドから抜け出し、外出準備。1時間ほどで家を出る。内勤になってからはあまり着る機会のなくなったスーツ姿で最寄りの駅へ。そこから電車を乗り継いでJR京都駅に着き、のぞみに飛び乗ったのは午前9時前。これなら楽々、約束の時間に間に合う。都内で趣味の本屋回りも少しはできそうだと気が緩んだ瞬間、「静岡県の掛川で集中豪雨。しばらく新幹線の運行は見合わせますのでご了承ください」との車内アナウンスが流れる。まあ、雨ぐらいならそう心配する必要もないだろうと紙コップのコーヒーを買って口に運びつつ煙草に火をつける。
30分が経過し、更に1時間がすぎても新幹線はまったく動く気配がない。しかも、午前11時前になって「雨がやまないため、午前中の運行は見合わせることになりました」の車内アナウンス。このままでは仕事に穴をあけるのは確実と判断してのぞみのチケットをキャンセル。急いで京都駅を抜け出し、出発寸前の伊丹行きJALバスに飛び込む。同時進行で会社の総務の人間にネット予約で伊丹―羽田の航空券を押さえるよう依頼しつつ、待ち合わせの相手や他の関係者に状況説明の電話を入れる。もう全身汗ダクだ。バスのなかでも電話とメールで延々と打ち合わせを繰り返し、豊中をすぎて空港に着く頃にはすでに放心状態に陥っていた。
キャンセル待ちを繰り返してなんとか羽田にたどり着き、打ち合わせ時間にこそ遅れたが、都内での仕事は穴をあけることなく無事に終了。ひと安心したが、とにかく疲れた。しかし、このままバテたままではいられない。せっかく東京までやってきたのだから、これから行くべき場所はただひとつ。
初めて観戦した大井のナイター競馬。カクテル光線の中に浮かび上がってくる馬たちは、中央競馬に出走している時の見慣れた姿とは異なった美しさを表現しており、とても新鮮に映った。購入した3連単馬券は1着3着2着で惜敗に終わったが、3連複にしておけばなんて後悔の念は不思議と湧かなかった。頭数自体はそう多くはなかったが、帝王賞自体もそれなりに見応えがあった。そして、僅かの時間だったとはいえ、久しぶりに武豊、松永幹、横山典といった騎手たちと話ができたのも嬉しかったことのひとつ。彼らの顔を見るにつけ、ちょっぴり昔の現場取材の仕事に戻りたくなった。
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競馬ブック編集局員 村上和巳
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