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最近の若者はあまり馬券を買わないという話を聞いたが、私の周囲にいる若者はといえば、競馬が好きでこのサークルに入ってきた人間ばかり。みんなそれなりに馬券を買って楽しんでいる。いいことだ。彼らには積極的に馬券を購入して、気持ちを入れてレースを見るようにとアドバイスしている。金額の多寡は問わない。というよりも、単位は単複100円ずつで構わない。競馬新聞や週刊誌を編集、発行している組織の人間なら、馬券を買ってレース結果に一喜一憂する読者心理を理解できないといけないと考えているから。新聞に予想を載せている人間なら尚更のことである。
だからといって、なにがなんでも馬券を買えばいいというものではない。私が新入社員だったころは無茶苦茶な日常だった。給料が一日でなくなることなんてあたりまえ。金曜日に渡されたボーナスが土曜の午前中のうちに明細書だけになってしまうことも珍しくはなかった。ごく稀に、払い戻し所で帯のついた札束(給料のンヶ月分)を受け取ったこともあったが、そんなものはすぐに消え去り、貧乏との戦いは限りなくつづいたが、これは悪しき例。自分の生活ペースを守って冷静に馬券を買うのがいちばんである。
結婚した当初は馬券が絶好調。競馬にはまったく無知だったつれあいは、『プロなら馬券が当たって当然』と誤った思い込みをしていた。実際のところ、日用品やちょっとした家具ぐらいなら、いつも私が馬券で費用を捻出できた。しかし、半年が過ぎ、一年が経過すると事態は大きく変わり、つれあいの言葉も、『プロやのに外れるの?』から、『また負けたん?』と日を追って変化。最後には、『趣味やレジャーでもお金はかかるものね』と達観していた。プロフェッショナルとしての権威がすっかり地に落ちた時期だった。
最近は馬単や3連複といった馬券の選択にも慣れて、僅かながら的中率も上がってきた。それにつれて、多少なりともプロフェッショナルとしての権威は回復しつつある。明日は第43回総選挙の投票日。馬券も選挙もまずは投票してこそ。京都、東京、福島とメインの三場制覇を達成して、意気揚々と投票所に向かう予定を組んでおり、そのためにも、今夜は徹夜になりそうだ。
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競馬ブック編集局員 村上和巳
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(※この原稿は11月8日に執筆されたものです) |
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