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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
その後のトップロード






 

◆その後のトップロード

 6月26日(木)、自宅に一冊の本が届いた。タイトルは『ナリタトップロード 騎手・渡辺薫彦の栄光と苦悩』(廣済堂出版)。差し出し人は10年来の飲み仲間である黒須田守。以前にメールマガジンで連載した原稿を加筆訂正して出版したものだとか。G1の菊花賞を勝ちながら決して順境にはなかったナリタトップロードとそのパートナー渡辺薫彦。そんな人馬の葛藤と成長が克明に描かれている。「僕のこと、きれいに書きすぎって気もするけど、いい本ですね」と渡辺騎手も満足げ。なかなか読みごたえがあるので、ファンの方は一度目を通されたらいかがかと思う。

 ただ、著者に言いたいことがひとつ。作品にケチをつける気は毛頭ないが、文中にやたらと登場してくる怪しい競馬記者。あれって、どう考えても邪魔。しかも、後半にはその人間の心理描写まで出てくるんだから、困ったもん。あんな怪しいヤツの心理なんて誰も関心のないこと。もし、この本が売れに売れて増版になるとしたら、あの部分はカットしたほうがいいよ。
 それともうひとつ、その競馬記者がナリタトップロードの馬房に侵入した事件。誤解のないように説明しておくと、菊花賞の夜、その人間が馬房に侵入したのは自らの意思ではない。馬房の前に『週刊競馬ブック』(雑誌)を静かに置き、「よう頑張ったな」と軽く声をかけて去ろうとしたら、トップロードのまぶたの上に寝藁が刺さっていた。痛々しいので取ってやろうと近づいたところ、上着の袖を噛まれて馬房に連れ込まれたのが真相。やむなく、寄り添って一対一の時間を過ごし、馬自身が落ち着くのを待って馬房を抜け出したもの。でも、あの夜のぬくもりはいまも忘れない。

 引退後のトップロードが種牡馬としてどんな様子なのか電話取材させてもらった。「今年の種付け頭数は130頭。ここまで予定どおりにこなしています。普段は大人しくて手がかからないし、それでいて、丈夫で馬っ気もなかなか強い。いわば、種牡馬になるために生まれてきたような馬。サッカーボーイ→ディクタスとさかのぼるお馴染みのサイアーラインですし、もちろん期待しています」との説明。社台スタリオンの徳武さん、ご協力ありがとうございました。

 初年度の種付け総数が130頭というのは、G1をひとつ勝っただけの内国産馬としては破格の好条件。3年後に産駒がデビューするわけだが、その産駒に渡辺騎手が跨ってクラシックに挑戦することにでもなったら、仕事を休んででも絶対応援に行くぞ!


競馬ブック編集局員 村上和巳


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