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◆ユージからのメール

 山積みした原稿を処理してひと息ついていた木曜日(23日)の夕方、一件のメールが届いた。

 「携帯で先週の編集通信、読みました。ナリタトップロードの引退を取り上げてましたね。実は僕も一度だけ志願してトップロードに(調教で)乗せて貰ったんです。やっぱり安定してますね。力強くて、一流馬独特の、伝わってくるものがありました。今後、馬を感じるための物差しがひとつ増えたなと思ってます」

 送り主は飯田ユージ(祐史)君。個人的に交流のある騎手のひとりである。飯田祐史といえば、引退したメイショウオウドウとのコンビで知られる中堅騎手だ。

 個人的に知るユージは、思慮深くて聡明な若者。当初は優しすぎるその性格が勝負の世界では災いするのではないかと思ったが、年々逞しさと厳しさを身につけて成長している。ユージと接していて感心するのは、騎手としての騎乗技術だけでなく、馬から降りたとき(日常)の人間性や知識の豊富さ。その読書量や見た映画の数の多さには、遥か年長の私が圧倒される。しかも、それぞれを彼なりにきちんと消化しているのだから、その懐の深さはとても20代の人間とは思えない。前述の「馬を感じる物差しがひとつ増えたなって思ってます」といった表現ひとつにも、彼らしさが溢れている。

 メイショウオウドウを追いかけていた私にとって、彼の言葉はひとつひとつが新鮮だった。いつも取材で助けてもらってばかり。私が彼にしたことといえば、思いつくのはバーボンの飲み方を教えたことぐらい。重賞を勝ったらメシをおごるから、今年も頑張れよ、ユージ。それと、提起したい問題があったらいつでも連絡してこいよ。このコラムを空けて待ってるから。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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