福島県いわき市の常磐支所において水泳トレーニング実施したのち退所後、G1レースを勝った馬は77年のエリザベス女王杯のインターグロリア以下、テンメイ、グリーングラス、モンテプリンス、キョウエイプロミス、モンテファスト、サクラスターオーがいる。水泳トレーニングを利用して鍛える方法は、安全で応用範囲の広いことが常磐支所の過去10数年間の実績でも明らかになっている。四肢に大きな負担をかけずに心肺機能を向上させ、スタミナ作りのできることが大きな特徴であって、利用価値は極めて高い。運動器疾患などを有していたにもかかわらず、早期に競走へ復帰する率も、プール利用馬の方が非利用馬よりかなり高い数字を残している。
現在美浦、栗東ともに競走馬用スイミングプールを所有しており、水温は年間を通じ常に27度を維持されているから、季節とは関係なくプール併用のトレーニングを積ませることが可能。つい最近では昨年の10月から利用を開始したエリモブライアンが、利用2戦目よりドンカスターS、そしてステイヤーズSを連勝している。イレ込みが激しく、角馬場ですらうるさくてまともに乗り運動のできなかった馬が一変した。
泳がないことには溺れてしまう。否応なしに自分の意志で体を動かさざるを得ない。水の中に入ることでリラックス、楽しさと喜びを知って運動量がアップするのだから、まさに一石二鳥。カイバの食いが細いタイプも、これによって食欲が増進されて馬体回復を促進している。プール調教といえば即座に脚部不安と同時に調教不足を連想するのだが、それも今は昔。科学的に分析、研究の進んできた現在では害があって益のない既成観念であり早々に捨て去るべき。
今年のダービー出走馬の中にもプール愛好馬(?)ノーリーズン、バンブーユベントス、ゴールドアリュールの3頭がいる。今やプールは丈夫で長持ちする強い馬作りの重要な一翼を担う、坂路にも等しい評価を受けるようになっている。
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