5月14日にアメリカのケンタッキー州レキシントンへ向けて高橋亮騎手が飛び立って行った。7月7日まで出張滞在する旨の届け出をJRAに出している。一応、現地には通訳とマネージメントを兼ねてやってくれる人がいるそうだが、レースに騎乗できるかどうかは不明。すべて向こうへ行ってからの話になる。父の高橋隆調教師に、事前に何の相談もせず、すべて自分で決めてやっている。海外修業するには、年齢も含めていろいろな面から検討してみると、今が一番いい機会かも知れない。伸びあぐねている現状打破のきっかけになるような何かを学びとって帰ってこれればという親心が息子を語る師の表情から窺えた。
ついこの間は白浜がフランスに短期間ではあるが出向いていた。オーストラリアへ留学した酒井の例もある。数年前には後藤がフロリダの方へ出掛け、半年以上も腰を据えて修業を重ね、今日の地位を築く礎とした。
期間の長短は別にして、気軽に海外へ出掛けて見聞を広め、あるいは学んでこようという風潮の広がりは結構なことだ。外国人騎手や、地方所属騎手のJRAにおける活発な仕事ぶりに接していながら、ただ、手をこまぬき座視していいのか? という素直な疑問が若手達を行動へと走らせていると受け止めたい。自分だけでも何とかしなければ、という切迫感はやがては全体的なレベルアップにつながってくるものと思う。イチローにより日本のレベルが認識されたように、武豊が世界を認めさせ、ペリエ、デムーロが追認した日本の騎乗技術。池添はデムーロの口添えで、5月1日の伊G2ジナエレナ賞での騎乗チャンスを得て2着。1日限りの形にせよ、大レースの騎乗依頼が日本の騎手に舞い込んできたことの事実が、努力を惜しまない者への励みにはなるはず。
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