コーナーTOP
CONTENTS
PHOTOパドック
ニュースぷらざ
1週間分の競馬ニュースをピックアップ
編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
競馬にアクシデントはつきもの

Back Number
成績の見方
調教の見方





 

◆競馬にアクシデントはつきもの

 NHKマイルCの正念場といえる400m地点で最初のアクシデントが、断トツの1番人気タニノギムレットへ降りかかった。インサイドから外へ持ち出したスターエルドラード。逆にアウトサイドから内へ寄り加減のタイキリオンという状況の下で、真ん中にいたサードニックスとタニノギムレットが挟まれる格好になって行き場を失った。

 サードニックスはその後外へ持ち出したので、不利はその時限りですんでいるが、タニノギムレットは一旦シフトダウンしてギアをローに入れた状態にし、再び加速に入った途端、あろうことか又々アクシデント。今度はテレグノシスが内から外へ斜めに持ち出してきたものだから、スターエルドラードが加害馬から反転して被害馬となっている。タニノギムレットはその際も外にタイキリオンがいて外への動きを封じ込められており、直進するしかなかった。1度は内へ向かっていたスターエルドラードが前をカットされ、態勢を崩してタニノギムレットの前へ舞い戻ってくるとは……。さすがの武豊も読みには入っていなかったようで、落馬を免れるのが精一杯。それ以外になす術はなかった。

 JRAの裁決が審議の結果走行妨害と認めなかったわけだから異議の申し立てようがない。が、肉眼なり、映像なりでそのシーンを目撃したファンはどう受け止めたのだろう。絶望的な位置から最後まで勝負を諦めず、勝ち馬に2 1/2馬身差まで詰め寄ってきたタニノギムレットの脚勢から、もし不利がなければ、あるいは最初の不利だけですんでいたらと思えば、憤懣やる方ない心境だったに違いない。この種のアクシデントはレースにつきもの、おそらく今後も繰り返し起こるであろう。“競馬に絶対はない”ことを思い知らされたこの授業料は高くついたのか、それとも安くてすんだのか、笑っていえるようなら結構なのだが、ルールは認めても失った金は戻ってこない。そうはいかんやろう、多分。


編集局長 坂本日出男


copyright (C)NEC Interchannel,Ltd./ケイバブック1997-2002