JRA広報部が定期的に発行している「競馬データ速報」がある。栗東、美浦の所属別在籍頭数とか出走延べ頭数、所属別勝利度数の調書、競走実績などは集計に余分な手間は必要としないだろうし、我が社でも既にデータは持っている。
巻末にあるトピックスは秀逸で、ついつい興味を引かれる。“今回は何を書いてるのか”とページを開くのが楽しい。武豊が2月23日の阪神初日、うずしおステークスで中央競馬通算10,000回騎乗を達成すると、それに関連したデータを早速取り上げて、過去の達成者や、達成迄の所要年月別を一覧表にしている。およそ武豊の偉才ぶりを際立たせるばかりであって、ある程度見当はついていた達成時の年齢の若さ。従来の記録は河内の39歳1カ月19日(ここ迄細かく勘定するか)を大幅に更新する32歳11カ月9日。同時に所要年月も5年余も早めていた。
3月2日の阪神で、全12レース中で中央所属騎手の勝利は4ツ。他はペリエの4勝を筆頭にデムーロ、安藤勝、小牧に障害のヒルスときて、何かしらわだかまりの残った人も少なくなかったのでは……。
クラシックレースがいよいよ始まるという時になって、突如武豊が今月の中旬より調教に騎乗する予定だとのニュースが伝わってきた。全治6カ月の大怪我をしたのが前記2月23日。とても信じられないことだが、診断よりも4カ月も早い戦列への復帰であり、天皇賞(春)は万全とはいえないまでも、不安のない状態では騎乗できるそうだ。やっぱり、“居るべき人がそこに居る”というだけで盛り上がりが違う。沈滞気味のムードを払拭し活性化させる立役者は彼を置いて他にいない。これを機に、競馬が元気を取り戻す迄の間だけでも日本にいて、周囲を取り巻く状況が良くなるのを見極めてから、その上で志望する海外修行に出掛けられては……。
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