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武豊落馬骨折でてんやわんや

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◆ 武豊落馬骨折でてんやわんや

 福永洋一さんの時に我々の受けた精神的な衝撃はひと口で言い表せないものがあった。それにも似た武豊の落馬事故。いつかはこんなことがと思いつつも、あって欲しくないと願い続けていたことが遂に起こった。昨年の7月、フランスにおいて落馬事故による左手首の骨折事故は全治6週間ですんだが、今回は全治3〜6カ月間の診断が下されている。「ダービーには間に合う望みがある」と、今更ジタバタしても仕方がないと悟り切った様子とか。

 もっとも第三者はそう冷静には受け止められない。影響力の大きさを物語るように、当座の厩舎関係者はてんやわんやの騒ぎ。しかし、モノポライザーは後藤が、タニノギムレットには四位が、ジャングルポケットはデムーロへと、潮が引くように矢継ぎ早に代替騎乗者が決定して空席を埋めて行く。有望馬なら誰だって頭を下げてでも乗りたいと思っている。買い手市場だけに実績の伴った騎手の上から順番に申し入れが行く。安藤勝もいよいよ病気回復して戦列へ復帰してきたし、小牧も信頼度は一段と高まってきており、それにペリエ、デムーロと、武豊不在のそれ以後をバックアップすべき側の布陣は十二分に整っている。今年のように、関東にこれといった強力馬の少ない3歳勢なら、トップジョッキーも空き家は多かろう。たちまち後藤にお呼びがかかったように、それらしい騎手は当然候補の対象として考えられていたろう。

 何だかんだといいつつも、落ち着くべきところにちゃんと落ち着くのがこの種の話。ところで、先の飯田といい、武豊といい共通しているのは自らの技術では到底防ぎ切れない事故であった点だ。命あっての物種、骨折程度ですめば、「ま、いいか」ですますぐらいの豪胆さがないとやって行けない因果な稼業なのが騎手という職業。当の本人よりも、常に命を削る思いでレースを見守り続けている妻子、親、兄弟の方が実は大変だろう。


編集局長 坂本日出男


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