1月20日小倉競馬2日目3R終了後、突然の腰痛で第4R以降のリタイアを余儀なくされた武幸四郎騎手が鍼灸、整体等いろいろ手をつくして治療した結果、3週間ぶりに戦列へ復帰してきた。プロゴルファーの腱鞘炎、野球の投手の肩、肘痛と同様に騎手の職業病といわれているのが腰痛。元ジョッキーで競馬評論家の大崎昭一氏は、現役時に一度も経験してなかった。「準備運動さえ十分にやっていれば未然に防げること」だとも語っているが、大崎氏の場合は例外に近い。
実際問題、そこまで徹底して周到な下準備をしている人は少ないようだが、軽いストレッチぐらいはやっている。どうしても早朝のことだし、始業直前でないと職場に到着していないので、時間がないのも確か。また、時期的なことも多分にあって、症状を訴えるのは大半が冬場。栗東トレセンも最近でこそ温暖化現象のせいで気温は高くなったものの、厳寒期では高くとも1〜2度。零下2〜3度というのは少なくない。時には雨や雪が降っている最中の調教もあるわけだから、体はすっかり冷え、萎えている。腰椎を保護している筋肉が硬くなっていれば故障も生じやすいはずだ。レース中にはあまりないそうで、ゆっくり走るか、歩いている時、馬が予測のできない動きを突然することで生じる体の捻じれ、あるいは、下馬の際に着地で態勢を崩すケースでの発症が主。若い時には多少の変化には条件反射により急場を凌げることはあっても、歳を重ねてくると体が動く以前に頭で考えてしまうので対応が遅れてしまい怪我や故障につながっている。
膝は反動を抜く重要な部位なのだが、それも年齢がいくと共に柔軟性が失われてくるため、下から突き上げてくる衝撃を緩和させる力が弱まることも故障の原因。ジョッキーよりも調教助手に多く見られる。河内、武豊しかり、ジョッキーは十分承知しており、日常的に継続した体の手入れを絶えず行っている。鍼を体に入れたままでレースに乗っている騎手もいた。休日を利用して九州や三重、鳥取方面へと、口コミで伝わる治療所の情報に誘われて東奔西走する人気ジョッキー達。プロとして当然な姿勢ではあるが、大変です。
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