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中舘英二騎手年間初の100勝






 

◆ 中舘英二騎手年間初の100勝

 中舘が15日の中京競馬場でJRA年間100勝を記録した。柴田善、蛯名、岡部に次ぐ4人目だった。中舘は1984年デビューで、これまでの重賞勝ちは19勝。ヒシアマゾン(9勝)以外はほとんどがG3であったため、かなり地味な存在だった。

 昨年は飛躍的に勝ち星が増加して、一挙にトップジョッキーの仲間入りする72勝を上げて今年の伸長を予測させていた。ただ、100勝の内訳では、夏競馬も含めローカル戦だけで89勝を稼いでおり、数字が示すほど印象としてはメジャーでなかったのは確か。増沢調教師が騎手であった頃、ローカルを中心に渡り歩いて前人未踏のJRA2000勝突破を達成している。

 誰の言葉か失念したが「人の行く裏に道あり花の山」とはけだし名言。騎手はレースに乗せてもらって何ぼのモノ。チャンスは自分から求めて出て行かない限り、待っていたのでは向こうから近寄ってきてはくれない。

 ここ2年で中舘は厩舎関係者から確固たる信頼を得ることに成功している。ローカルといえば小回りコースだ。戦術面では先行策が効果的である。W開催の裏開催ともなれば、中央戦よりも1ランク下の若手ジョッキーが主体となった戦場である。少々強引でも前へ行かせ、一人旅なら逃げ切り、競り合いになっても筒一杯首位争いに加わる粘りを発揮させている。騎乗依頼が増えれば1頭1頭いろいろ試しながら乗れるし、技術は上達する一方。そのうち、ああ乗れ、こう乗れといった細かな指示を受けなくなり自由裁量で乗らしてもらえるようになれば臨機応変、幅広い対処ができるのでより勝てる確率は高まる。

 物事は総じていい方、いい方へと流れて行く。近い将来G1レースでも有力馬を依頼されるようになるだろう。第二の増沢の出現は伸び悩み状態の中堅騎手に、意識の転換を促す啓示となるのでは。


編集局長 坂本日出男


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