七夕賞(G3) 福島・日曜11R 芝2000m |
七夕賞(G3) 福島・日曜11R 芝2000m |
実績がなければ直近が良い成績、実績馬なら前走は度外視 条件的にアールスターの復活は期待大 夏の福島開催の風物詩である「七夕賞」。ハンデ戦で、梅雨時期のレースであることから、波乱要素が大きいレースとして、穴党ファンにはたまらない重賞だ。1980年に夏開催に戻り、この年から芝2000mで実施されるようになった。1989年、福島競馬場のスタンドと馬場改修のため、新潟ロングランの時と、中山で2度(1996年、2011年)行われた以外は、基本的に施行時期と距離は変わらない。平成に入る前の福島は、芝コースの路盤が悪く、雨が降ると田んぼのような状況になることが多かった。コーセイが勝った1988年は、田んぼの馬場で、勝ち時計は2分04秒0と、良馬場で行われた前後の年より約3秒半遅かった。それが、馬場改修に伴い、少々の雨では水が浮くような不良馬場にはならなくなり、福島の芝のイメージがガラリと変わる。1990年、軽ハンデを味方に混戦を断ったイダテンターボは、個人的に予想を楽しんでいた時期で、イダテンターボを◎とした思い出のレース。当時は900万(現2勝クラス)の信夫山特別をレコード勝ちしたが、2600mと距離が長く、中距離の重賞ではハンデが軽くても厳しいと見るのが一般的だった。しかし、小回りコースを味方にロスなく立ち回り、タカラフラッシュとの競り合いを制し、12番人気での勝利には、◎を打ちながらも激走ぶりに驚いた。 かつて、この時期はこの競馬場という開催日程だったが、月日が変わり大幅に変わる。夏の福島開催の最終日を飾るレースに定着していた「七夕賞」が、2013年から夏の福島開催2週目に施行されるようになった。開幕週に前哨戦として定着していた「福島テレビオープン」の存在がなく、夏競馬らしいレースのつながりが薄れてしまった。また、2週目の開催に移ったので、馬場状態の良い中でレースが繰り広げられるとともに、近年の馬場状態を維持する技術の向上から、時計勝負のレースが目立ち、軽ハンデの激走が、以前ほど見られなくなってきた。名物レースの変化は、オールドファンには物足りなさを感じてしまう。 今年は、大地震の影響で、春の福島開催、新潟へ急遽、舞台を移さざるを得なかった。今年の福島競馬は、この夏開催が初となる。先週の競馬を観ていると、まさに緑の絨毯を敷き詰めたような、素晴らしいコンディションでレースが行われている。しかし、時計は案外速くなく、脚元にも良いクッション性の強い馬場状態で、持ち時計にはこだわらなくて良さそうだ。 「七夕賞」の狙い方は、色々ある。直近のGⅢに出走(エプソムCか鳴尾記念)する馬や、リステッド競走から巻き返してくる馬たちの好走が目立つ。また、過去の実績馬が、春競馬のGⅡで敗れた後、「七夕賞」に照準を合わせる形で結果を残すタイプもいる。どちらにも言えるのは、前走の着順は、良くても悪くても関係ない。ただ、実績がなければ直近が良い成績、実績馬なら前走は度外視という考え方が成り立つ。昨年の「小倉記念」で人気薄ながら内をすくって差し切ったアールスターは、その後重賞での戦績が今ひとつ。目立つのが、「小倉大賞典」4着と、小倉コースとの相性が良いことは間違いない。しかし、「日経賞」9着後、このレースまでじっくり立て直してきた点に注目したい。福島コースと1周距離などが似ている小倉巧者、しかもハンデ重賞。条件的に、アールスターの復活は期待大だ。 | ||
古谷剛彦(ふるや たけひこ)
楽天競馬スペシャルアドバイザー。1975年生まれ、東京都出身。学生時代からJRDBにスタッフとして携わり、卒業後はローカルを中心としたパドック診断を担当。現在はホッカイドウ競馬を中心に地方競馬のパドック解説を行うほか、グリーンチャンネル「KEIBAコンシェルジュ」に出演、また各スポーツ紙で馬産地コラムを連載するなど、各方面で活躍中。
古谷剛彦ツイッター
https://twitter.com/furuyatti?lang=ja
古谷剛彦(ふるや たけひこ)
楽天競馬スペシャルアドバイザー。1975年生まれ、東京都出身。学生時代からJRDBにスタッフとして携わり、卒業後はローカルを中心としたパドック診断を担当。現在はホッカイドウ競馬を中心に地方競馬のパドック解説を行うほか、グリーンチャンネル「KEIBAコンシェルジュ」に出演、また各スポーツ紙で馬産地コラムを連載するなど、各方面で活躍中。
古谷剛彦ツイッター
https://twitter.com/furuyatti?lang=ja





