幕引きと幕開けと……
新年明けましておめでとうございます。 新設GT・ホープフルSが終了してからまだ1週間。息つく間もなく、という感じで迎えた2018年です。それでも、年が改まれば気持ちもまた引き締まるもの。新たに歴史を刻み始めたホープフルSの名のごとく、今年一年が競馬界にとって、また、多くのファンの皆様にとって明るく希望に満ちた年になることを心よりお祈り申し上げます。 改めて振り返ってみると、2017年には大きな変革がありました。それは週刊誌ホープフルS号の編集後記でも書いた通り、去り行く者が一年の幕を引く時代が終わり、希望に溢れた若駒が一年を締めくくる時代を迎えたということです。 思えば、有馬記念の翌日にあともう1日≠ェ組まれたのが2012年と翌2013年。私は当時、この日程に少々否定的な意見を述べました。「終わったばかりの有馬記念とともに、暮れて行く一年を静かに振り返りたい。そのためにも有馬記念はオーラスであって欲しい」、そんなことを訴えました。周囲でも様々な人が様々な場所で、そして、様々な切り口でこの日程の是非を語っていた記憶があります。私と同様に否定的な意見がある一方、有馬記念の余韻の中で一年を振り返る、そんな感傷などくだらないものだという声もありました。 今回はどうでしょう? 時代が変わっていってしまうことを誰もが何の不安もなく受け入れているのでしょうか? 新しい時代の流れに自分が追いつけない、そんな焦りのような思いはないのでしょうか? 私自身は当時ほど強い感慨はありません。決して競馬への思いが冷めてしまった訳ではありませんが、これも同じく編集後記で書いたように、違和感の残るこの日程もいつしかいい一年の終わり方≠ノなってくるのかもしれない、そして、新たに動き出した時代に正面から向き合いたい、そんなふうに考えているからです。 さて、新たに迎えた2018年は例によって中山金杯、京都金杯からのスタート。ここを勝てば、幸先のいい重賞制覇≠ネどと言われます。勿論、金杯優勝馬のその後の一年というのは様々。残念ながら、その年に不振が続いた馬も少なくありません。 一方で大きく飛躍を遂げた馬もいます。中山金杯(旧金杯・東)に絞って見てみると、日程が正月の初めに定着した1961年以降(その前は1月中旬)、以下の馬が幸先のいい金杯優勝から、その年にG1、あるいはG1級ウイナーに輝きました。 61年ヤマニンモアー →天皇賞春(1) 62年オンスロート →天皇賞春(1)、有馬記念(1) 65年アサホコ →天皇賞春(1) 76年アイフル →天皇賞秋(1) 86年クシロキング →天皇賞春(1) 98年グルメフロンティア →フェブラリーS(1) 07年シャドウゲイト →シンガポール航空国際C(1) 15年ラブリーデイ →宝塚記念(1)、天皇賞秋(1) この他、金杯優勝の翌年に春の天皇賞、有馬記念を制覇した95年のサクラローレルもまたこの舞台が飛躍の足がかりになった一頭。更には、金杯優勝に始まってその年に実に17戦して8勝(重賞に4勝、秋の天皇賞2着、有馬記念2着)と牝馬ながら大活躍した64年のトースト、6歳から11歳まで(04〜09年)6年連続で出走し1、5、2、2、7、14着の成績を残したアサカディフィートなども、この中山金杯の歴史を語るうえで欠くことのできない存在と言えるでしょう。 第67回を迎える中山金杯。果たして今年、幸先のいいスタートを切るのはどの馬でしょうか……。
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