スーパームーン
11月14日の夜、日本では68年ぶりの大きなスーパームーンが観測された。残念ながら関東地方は天気が悪く当日はハッキリ見えなかったが、翌15日の夜はよく晴れて少し小さくなったが、一日遅れの満月を拝めた。このスーパームーンという用語は天文学の言葉ではなく占星学の用語だという。しばらくツキ(月)がなかった自分も願い事をすることに。 「田村さん、これは取った方がいいですよ」夏の出張が始まる前にかかりつけの歯科医から言われたのが冒頭の言葉。痛みがある訳ではなく外から見る分には気がつかない、歯茎にできた出来物。なるほど唇をめくってみると腫れ物のようになっている。レントゲンで撮影すると炎症を起こしているとのこと。だが、夏競馬の開催中はなかなか家にも帰れないので治療開始を引き延ばして結果的に秋以降に改めてとしていたのだが、やはり医師の判断は切除した方がいいとのこと。幸いにもこれまで大病の経験がなく歯茎とはいえ、麻酔を打ってメスを入れ、縫い合わせるという説明を聞くと俄かに恐怖が。執行前の死刑囚(経験はないが)のように、しばらくは食べたいものを食べられないという考えから前日には好きなものを食べて備えていたが、やはり寝付けない。 手術当日は11月14日、月曜日。そうスーパームーンの日だった。部分麻酔を打ったせいで眠気が出るくらいで執刀中は自覚症状はないのだが、やはり違和感があるし、終わると摘出した部分を見せられてグロテスクな気分に。当然のことながら術後、2、3日は顔が腫れてくるし、入浴も禁止で普段通りの生活もできない。ツキがないかな……。折りしもその週は秋開催で唯一の福島出張週。美浦までの移動はスムーズに終わったのでみちのく路の車の運転も無事にこなしたが、開催日は業務に追われることに。少人数でこなしている分、時間の余裕はなかったが、何とか流れに乗っていると東京3Rの本紙予想で久々に万馬券のヒット(さすが熊沢さん、ありがとう)。流れは悪くない。そして出張2日目も一進一退を繰り返しながらつつがなく業務をこなし、あとは自分の馬券だけと思っていたが、4着病(買った馬が4着になる)に悩まされ払い戻しに辿りつかない。半ば諦めかけて最後に希望を託したのが福島メインのトラキチシャチョウ。ハイペース必至のメンバーで脚質的にも小回り向き。デキも悪くなさそうだと思って期待を込めて双眼鏡を握り締める。スタートは悪かったが、外枠でもスッとインに入れてロスのない立ち回り。案の定、流れは速く展開はピッタリ。残念ながら2着のブラゾンドゥリスは抜けてしまったが、単勝的中で負けは取り戻した(ありがとう丹内)。ツキが戻ったかも。 日曜はいつも通り無理は避けて当地に一泊して月曜に帰京。雨と寒さに凍えながら眠りにつくとグラグラッという大きな揺れで目を覚ますことに。何と前日まで滞在していた東北地方で地震があってテレビをつけるとあの悪夢の津波情報が……。だが、怪我をされた方もいたようだが、幸いにも津波の大きな被害はなく昼までには警戒情報も解除された。ほっとひと安心。関東トラックマンにとって息つく暇もない(少し大袈裟?)ダブル開催が終わって今週は束の間の2場開催。だが、このツキを生かして年末までラストスパートをかけて行きたい。
美浦編集局 田村明宏
copyright (C) Intergrow Inc./ケイバブック1997-2016