『2015年回顧、のつもりで』
早いもので2015年も11月の第3週に突入しました。秋のGTシリーズが佳境に入り、クライマックスへ突き進むのはまさにこれから。そんなタイミングですから、いくらなんでもまだちょっと気が早い、と言われるかもしれませんが、今回は現時点での個人レベルの“年間回顧”をしてみたいと思います。
まず、2011年に『東西編集局リレーコラム』のタイトルでスタートした当コラムが、名称を変更し、『週刊トレセン通信』としてリニューアルしたのが今年の1月でした。 その際に執筆者が4人から6人に増員。担当するのが大体で月1回から3カ月に2回、という間隔になりました。 それはそれで結構なのですが、コラム内容に時節を取り入れたく思う自分としては、タイミングを外さないネタ選びに悩まされるケースも増えてきました。 今年の場合ですと、年末にもう一度、私が担当することになるのですが、その際は“次の年へ向けて”みたいなテーマがいいかな、などと漠然と考える流れの中で、「じゃあ一年を振り返るなら今回しかない」という結論に達したわけです。
いやまあ、当コラムの再スタートにかこつけた“気の早い回顧”についての弁解はこのへんにして。
ざっくりと上半期、としますと、春先の“マイブーム”の最たるものは、テレビ東京系の深夜番組『太鼓持ちの達人』でした。 テレ東の深夜番組と言えば、『孤独のグルメ』などに代表されるように、近年、絶好調ですが、この『太鼓持ち〜』に関しても、回ごとのクオリティにムラはあったものの、それこそ80年代に次から次に登場した傑作深夜番組の再来か?なんてことまで大袈裟ながら思ったくらい。 更にこの番組からは、エンディングテーマを担当した音楽ユニットにも衝撃を受け、セットでマイブーム扱いしてしまいました。
また映像ですと、ブックログの方で取り上げた日本映画『キツツキと雨』でしょうか。「そんな何年も前(公開は2012年)の映画をマイブーム扱いするんじゃない」と叱られそうで、それについては返す言葉もございませんが、観た直後に、いわゆる観光地ではないロケ地を訪ねたってのは初めてでしたので…。それくらい嵌まりました。
競馬絡みで上半期に起きたことでは、レースや競走馬をさしおいて、ではありますが、やっぱり後藤浩輝騎手の死去には衝撃がありました。 海外、地方競馬を含めた通算1500勝を超える現役騎手で、落馬事故からの復帰を遂げたばかり。それについては、これもブックログで紹介した通りで、昨年12月に取材させてもらい、あれやこれやと談笑したばかりの2月末のことでしたから。
突然居なくなられた際のショックということでは、こちらは9月になってからのことですが、親しくしていた同業者が急逝しました。 月に3〜4度かそれ以上、つまりほぼ毎週、お酒を酌み交わして、競馬は勿論のこと野球を始めとしたスポーツ全般、また映画やドラマ等についての話をしながら、常に刺激を受け続けた男だったのですが、それが自分よりも7歳年下。しばらくの間は、何をどう考えていいんだか、よく分からない日々が続きました。
急な死、の話では、競走馬の方に目を向けても休養中だったアンバルブライベンだの、種牡馬のマンハッタンカフェだのと…。
これらのエピソードが現時点での回顧を思いついた理由のひとつ。というか、すべて、と言って良かったかもしれません。
もうひとつ、これはマイブームではないのですが、『ぼくらが愛した「カーネーション」』という単行本があります。2011年後期のNHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』に関する考察(?)本。 これまた3年ほど前に出版されたものなのですが、熱狂的ファンのくせに存在を知ったのは今年でした。帯のキャッチコピーが“朝ドラ史上最高傑作”。さっそく購入して読みました。 まあ恥ずかしながら多くのセリフを暗記しているくらいで、もっぱら「ふむふむ」と再確認するだけだったのですが(とはいえ昨年、今年とEテレで放送された『戦後サブカルチャー史』の講師役である宮沢章夫氏が寄稿していたのには驚かされました)。 ですから、その本を読んで思い出したわけではないのですが、ドラマの奥底に流れるのが「死は生の延長線上にある」というテーマ(勿論、個人的見解に過ぎません)。それが深く胸に突き刺さることになりました。 年齢を重ねるにつれて、“死”と向き合う機会が増えることは分かっていたつもりでしたが、“突然”だった場合の喪失感というものが、半端ではない、ことを突きつけられたのが2015年。 そして改めて、「死は生の延長線上にある」といったようなことを強く感じさせられたのが2015年でした(上記の本の帯のコピーに嘘偽りはありません)。 そんなわけで、そういったことに関しては、ほんの少しだけ成長できたんじゃないのかな?などと思っているところ。 で、それ以外のことは? …沈黙するしかありません。
恐ろしく、“らしくない”話題で失礼しました。
美浦編集局 和田章郎
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