『早くも?!クラシックを展望する』
2015年度の2歳戦がスタートして5週間が経過。東西合わせて39頭が勝ち上がっている。私の担当厩舎でダービー前の2歳紹介から期待通りにデビュー勝ちを飾った馬が2頭。
牡馬ではプロディガルサン(国枝厩舎)。ラングレー、リアルスティールという全兄2頭が活躍していることを考えれば期待されて当然なのだが、その2頭と違うのが金子真人HDの所有馬ということ。国枝厩舎でこのオーナーといえば当時は個人名義だったブラックホークで厩舎、オーナー共に初のGT制覇。更に近年では牝馬3冠のアパパネ。歴史に残る活躍馬が出ている。ラングレーが10月の東京、リアルスティールが12月の阪神でデビューしたのと比べると圧倒的に早い段階での出走。それだけで体質の丈夫さが窺い知れる。レースぶりは道中、モタつき気味の追走で直線はほとんど追うところなし。2着との差は半馬身だけだったが、奥の深さは感じさせた。「初戦は素質だけで勝ったようなもの。慌てる必要はないし、じっくり行くよ」と師が語っているように秋の東京開催まで出走予定はないが、放牧に行かずに調整を続けるとのこと。兄達が勝てなかった皐月賞やダービーへ向けて期待が膨らむ。
一方、牝馬ではメジャーエンブレム(田村厩舎)。早い時期から順調に乗り込まれていたし、「馬格があって牝馬という感じがしません」と師が語っていたように好馬体の持ち主。母が活躍したように厩舎に縁のある血統。全兄のメジャープレゼンス、メジャーステップの兄2頭がダートで勝ち上がったのに対して東京芝1800m、しかも牡馬相手に勝ち上がったのは価値がある。スローペースの好位につけて折り合いは完璧。追い出してからもしっかり伸びて上がり3ハロンはすべて11秒台。センスと完成度の高さも感じさせた。「一旦は放牧に出ていますが、適当なレースもないので今のところ次走は未定」とのことだが、こちらはオークス向きの印象を受けた。
以上2頭、まだ気が早いが、このまま順調に行って来春には大舞台で活躍していることを期待したい。
美浦編集局 田村明宏