『競馬ブックと女性ファン』
幹太さんの先週のコラム、分かる分かると頷くばかり。競馬のあとにまっすぐ帰れない、大衆酒場の居心地がいい…… そうそう、勝っても負けても競馬の帰りは、誰かといたい、雑踏に紛れていたいという強い気持ちがありますね。レースについて物凄く語りたいのかと言えばそうでもない。全然、関係ない世間話でいい。それはそれで、馬券でやられたときなんかは「あー、競馬をしないで暮らしてる人もいるんだ。世の中って」と当たり前のことを確認して、負けた現実が妙にちっぽけなことに思えたり……。オヤジギャル世代の私は、うら若いころから大衆酒場にひとりで入るのなんてへっちゃら。ひとりだからこそ、お隣さんとお話できたり、新しい出会いがあるというもんです。灰皿がなくたばこの灰を床に落とす、まではまだ経験がないですが、プラスチックのお皿がちゃかちゃかと出てくる感じはたまらなく好きです。
ところで、日本ダービー前日の5月30日(土)に京都競馬場で「女性のための初心者競馬講座」を開きます。企画しながら思ったのですが、競馬ブックと女性の競馬初心者って、遠い〜遠すぎ……。若い女性と大衆酒場ぐらいの距離感ですよ。或いは誰かにつれられてくることはあっても、ひとりではまず入らないでしょう。床に落ちゆくたばこの灰や、お皿のちゃかちゃかにすぐに馴染める女性なんていませんよ。うちの週刊誌のアンケート調査によると、読者層は競馬歴20年以上の大ベテランが大多数。競馬新聞、週刊誌のどっちも専門的すぎますもんね。実際仲間に入りづらいです。
そして、私は女性にやさしい競馬ブックを目指そうと思い至りました。私が競馬を始めた20代の頃は競馬ブーム真っ只中で、一般の女性誌に競馬新聞の見方が特集されていたりしました。そんな時代背景もあって、週末ごとに競馬専門紙を買い、子供が母国語を覚えるかのように、誰に質問することなくごく自然に数字を読み取れるようになったのです。ただ、当時も競馬に関心を寄せるのは、女の人より男の人のほうが圧倒的に多かったかな。女の人は、男の人の意見を聞きながらという感じ。気を使いつつ周りを窺いつつの発言だったように思います。
5月の講座は思い切って女性だけを募集することに決定! 女性だけが入れる空間のJRAの「UMAJO」スポットの協力もいただき、「女性限定」を強調した企画です。 ちょうど先週、弊社ホームページにて「ばんえい競馬って?」の動画配信がスタート。出演のひとりは、わが社のばんえい担当女性トラックマン稲本智子です。わが社には南関東に中川明美トラックマンもいます。女性のみなさま、さあ盛り上がっていきましょう!
栗東編集局 山田理子