『G1東京シリーズざっくり展望〜種牡馬の傾向』
今週からはNHKマイルCを皮切りに、ヴィクトリアマイル、オークス、ダービー、安田記念と5週連続で東京競馬場でG1が行われる。どれも芝の1600mか2400mのどちらか。ストロングスタイルの勝負が続いて良くも悪しくも息詰まる感がなきにしもあらずだが、6月初めまでこの条件に付き合うからには、おおまかな傾向を掴んでおきたい。あれもこれもと手を広げてはキリがないので、種牡馬の傾向に絞って見ていく。対象はサンデーサイレンス産駒にクラシック世代がいなくなった2007年以降。
●3着内数ベスト10(1-2-3着-4以下)3着内率 【芝1600m】 1 キングカメハメハ (21-19-17-105)0.351 2 シンボリクリスエス (19-20-10-87)0.360 3 アグネスタキオン (13-16-19-132)0.266 4 マンハッタンカフェ (15-9-8-87)0.268 4 フジキセキ (13-12-7-109)0.226 4 キングヘイロー (10-9-13-72)0.307 7 タニノギムレット (8-12-10-81)0.270 8 スペシャルウィーク (13-10-6-126)0.187 9 ダンスインザダーク (8-8-9-123)0.168 10 ジャングルポケット (6-10-8-81)0.228
トップのキングカメハメハはヴィクトリアマイルでアパパネの1着とレディアルバローザの3着があるものの、重賞ではほかにキングストリートとコスモセンサーのそれぞれ東京新聞杯2着があるのみ。昨年まで2年連続のリーディングサイアーとしてはやや物足りない数字ではある。2位のシンボリクリスエスも重賞レベルではストロングリターンの安田記念2着1回だけ。 フジキセキはトータルでは4位ながら、G1級ではコイウタ、エイジアンウインズのヴィクトリアマイル、ダノンシャンティのNHKマイルCとそれぞれ異なる馬で3勝を挙げている。ダノンシャンティのレコード駆けが示すように速い流れで切れ味と底力の両方を求められると強みを発揮しそうだ。キングヘイローは重賞実績こそローレルゲレイロとムラマサノヨートーの2頭で1勝2着1回3着1回だが、ムラマサノヨートーは18番人気でのNHKマイルC3着。東京1600mで一変するものがいるので要注意。7位のタニノギムレットはG1での3勝2着1回すべてがウオッカのものだが、他にスマイルジャックやニシノブルームーンが3度3着に食い込んでいて、人気薄でも注目しておくべき存在。ジャングルポケットはこの距離でのG1実績こそ残していないが、他コースで凡走したあと人気薄で一変というケースが少なくないので、穴としては一考に価する。 産駒がデビューして間がないディープインパクトは1〜3着の合計ではベスト10に届かなかったが(8-7-5-28)で勝率0.166、3着内率0.416という驚異的な数字を残している。昨年のG1では3回出走例があり、NHKマイルCで2着コティリオン、3着リアルインパクト、安田記念で1着リアルインパクトと複勝圏パーフェクトを達成している。種牡馬としては1年後輩となるダイワメジャーは今季が初めて東京で迎えるG1ということになるが、ここまで(3-2-2-9)勝率0.187、3着内率0.437というディープインパクトを凌ぐ数字を残している。8番人気で赤松賞に勝ったトーセンベニザクラの例もあり、3頭出しとなるNHKマイルCでは人気の有無に関わらず注目しておきたい。あとはゼンノロブロイの(3-8-8-42)0.311の3着内率が目をひくが、これはそれほど人気薄での大駆けはなく、人気なりの評価でOKだろう。
【芝2400m】 1 ダンスインザダーク (8-8-9-80)0.238 2 ステイゴールド (9-4-7-54)0.270 3 ジャングルポケット (10-6-3-56)0.253 3 スペシャルウィーク (4-9-6-48)0.283 5 シンボリクリスエス (4-6-8-51)0.260 6 アグネスタキオン (6-6-4-49)0.246 7 キングカメハメハ (6-6-2-42)0.250 8 ハーツクライ (4-5-4-6)0.684 9 マンハッタンカフェ (2-4-6-50)0.193 10 ゼンノロブロイ (4-2-5-23)0.323
トップは自身ダービー2着のダンスインザダークだが、重賞レベルではフィニステールの青葉賞3着のみ。2位ステイゴールドは昨年オルフェーヴルがダービーを、今年も青葉賞をフェノーメノが勝っている。3位のジャングルポケットはかつての「東京のトニービン」の称号を父から継承して、トールポピーがオークスに勝ったほか、ジャパンCでオウケンブルースリが2着、トーセンジョーダンが2着、ジャガーメイルが3着となっている。人気の有無に関わらず狙えるので、今週のプリンシパルSでエアソミュールがダービーの権利を取れるかどうかには注目しておきたい。 0.684という3着内率が示す通り、新鋭で注目すべきがハーツクライ。昨年のウインバリアシオンは6番人気で青葉賞に勝ち、10番人気でダービー2着となった。オークスのダイワズームはもちろん、ジャスタウェイのNHKマイルC後の動向にも注目しておきたい。ゼンノロブロイはオークス馬サンテミリオンを出して実績十分だが、イチオクノホシが戦線離脱、ステラウインドは青葉賞3着でダービー出走権を逃した。 ディープインパクトは出走数そのものがまだ少ないので(3-2-2-17)の14位だが、現在の勢いを保てば質的にもジャングルポケットに並ぶくらいまで行きそうだ。意外な好成績を残しているのが20位のロージズインメイで(1-4-1-9)。3着以内はすべて条件級のものだが、0.400という数字はコスモオオゾラの巻き返しを示唆するデータといえるかも知れない。
最後にこの時期避けられない道悪のデータも挙げておこう。 【芝1600〜2400m、重・不良】 1 アグネスタキオン (6-2-6-35)0.285 1 ジャングルポケット (5-7-2-19)0.424 1 ステイゴールド (4-5-5-30)0.318 4 マンハッタンカフェ (5-2-4-22)0.333 4 シンボリクリスエス (3-5-3-30)0.268 6 ダンスインザダーク (3-3-4-30)0.250 7 ホワイトマズル (4-2-1-11)0.388 7 キングカメハメハ (0-3-4-25)0.218 9 ゼンノロブロイ (4-1-1-13)0.315 9 ファルブラヴ (3-2-1-5)0.545 9 タニノギムレット (2-1-3-25)0.193 意外にキングカメハメハが不振。ファルブラヴの3着内率が出色だが、出てくる産駒がいるのかな?
栗東編集局 水野隆弘