『ディープインパクト産駒考察記録』
ディープインパクト産駒についてこの1年間、あれこれと考えましたが、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。ご存知の通り、昨年2歳リーディングでは勝馬頭数、勝利数でファーストクロップサイアー歴代1位に立ち、獲得賞金は5億円超え。昨年6月のデビューから日本ダービーまでに491走して82勝(うち重賞3勝、翌週安田記念のリアルインパクトで+1)を挙げ、3勝馬はリベルタス、トーセンレーヴ、マルセリーナの3頭、2勝馬は20頭。桜花賞で事も無げにクラシックを制覇を遂げ、安田記念で悠々と古馬に先んじた一方で、オークスに6頭、日本ダービーには4頭を送り、人気も集めながら、馬券圏内に入れなかった事実もあり、受け止め方はそれぞれではないでしょうか。これからも注目され続け、支持され続けるであろうから、買うにせよ、消すにせよ、うまくつきあいたい産駒。そこで、2世代目がターフを駆ける前に、一度じっくり向き合ってみようと思いつきました。以下は、体つき、普段の振る舞い、調整過程、パドック、返し馬、レース本番などを観察して感じたことを事ある毎に書き溜めたマイメモ。これに沿って話を進めていこうと思います。
2010/5/14 多くの馬が賢い 2010/6/2 とにかく足元丈夫、ほぼすべての馬が休まず調教を消化 2010/7/13 肩も股関節もよく動き、バネあり。体が見栄えするわけでないが、とにかくコアマッスルありそうな歩き 2011/1/9 激しい気性とそれに伴う馬体減りが心配。ハイペースの消耗戦だと? 2011/3/11 カイ食いの細さがネックになっている馬も多いよう 2011/3/24 首上下に振る速いリズムで走るが、だからといって短距離では脚たまらない? 2011/4/9 クラシックを前に勝つペースが減速(クラシック前に勢いづいた父の産駒とは違う傾向) 2011/5/12 レース間隔が詰まるより開いた方がいい。心と身体の両面で。身体能力が高いし、仕上がり早やで、走ることに前向きなので既走馬相手はさして不利にならない。京都芝1800mは特筆の成績。 2011/5/13 軽い芝のスローの決め手比べに滅法強い。関西なら京都>阪神、関東なら東京>中山
以上を大まかにまとめれば 1、軽い造りで丈夫な馬が多い。仕上がりが早く、気性も前向きで反応もいいので初戦駆けする(2歳秋に11週連続新馬勝ちを達成)。
2、天性のバネがあり、スピードと瞬発力を兼備。新馬戦にありがちなスローからの上がり勝負(たとえばラスト3Fで11秒台前半のラップが続くような)では独壇場。
→調教駆けしている馬は素直に素質を信頼すべき。好配当を期待するならヒモで。
3、しかしながら、レース経験を積むと気持ちが入り過ぎてテンションが高ぶったり、馬体が減ってしまう危険性が。気持ちと体の面での遊び、ゆとりをいかに保てるか(マルセリーナはデビューから3戦で馬体重が減り続けていたが、エルフィンSから2カ月の間隔を開けて桜花賞に直行)
→馬券的な妙味があるとすれば、初戦圧勝で人気している馬が2戦目または格上挑戦で人気しているケース。ゾクッとする切れ味を見せてデビュー戦を飾っていても、気持ちが空回りしていたり、大幅な馬体減があったときには過信禁物。初戦がスローだった場合、昇級しての速い流れの対応が課題となる。
現在トレセン入厩済みの産駒の動き、馬体を見ても、やはり走りが柔らかく、バネがあって目に止まる馬が多い。ウィークポイントに対する対策が練られるはずで、持てる力を発揮できれば、当然ながら傾向は変わってくるだろう。G1での好走が桜花賞1着、NHKマイルC2、3着、安田記念1着だったので、距離の融通性や底力不足を不安視する声も出てくるかもしれないが、その辺はまだ決めつけず、柔軟な考え方で観察していきたい。
栗東編集局 山田理子