・シェーンヴァルト ・ダイワプリベール ・トーセンジョーダン ・ブレイクランアウト ・プロスアンドコンズ ・マッハヴェロシティ
・アイルラヴァゲイン ・ウエスタンダンサー ・コスモベル ・サープラスシンガー ・スプリングソング ・プレミアムボックス ・ヘイローフジ
先週の京都競馬はかなり荒れた。タマモクロス産駒あたりが得意としている冬場の京都の芝はただでさえ時計がかかるのが常識なのに、それに加えて週末の雨。馬場状態の把握が実に難解だった。函館や札幌の洋芝に実績を残している馬の好走をヒントに日曜後半の馬券を考えた私だが、結果は完敗。推理も分析も中途半端に終わり策に溺れた格好だった。雨の日の場合は、土曜前半に逃げが決まっても、後半に入ると内を回った先行グループの脚が徐々に鈍り、日曜日に入ると良馬場では少々パンチ不足だったはずの馬が外からバテず差してきたりする。レース毎に変化する馬場状態をあらかじめ読み切ることなど至難の業。最近は雨量が多くなると馬券を見送るケースが増えているが、そんななかでビシビシ予想を当てた記者もいる。
まずは坂井直樹記者。日曜6レースの馬単204,980円の超大穴をヒットさせた。入社してからは内勤としてデスクワークに専念していたが、昨年あたりからG1レースの競馬場取材(現地入厩関東馬、外国馬が対象)や同時開催時の中京に助っ人として参加するなど幅広い業務を兼任。年明けの中京開催の個人予想では3週トータルで黒字の首位に躍り出るなど、ここにきてグングン回収率を上げている20代の若手。最近は単穴抜きで本命から流すスタイルの予想が主体で思い切りの良さが目立っている。ちなみに、日曜日の20万馬券は馬券もゲットしたというから立派。データ分析も得意分野のひとつで今後とも注目すべき存在である。
日曜に万馬券を3本当てて気を吐いたのは小原靖博記者。日曜10レース馬単10,080円、11レース馬単18,470円、12レース馬単10,260円を連続ヒットしてみせた。厩舎取材斑の中心として日々取材に励んでおり、例年出張で訪れる北海道ではホテルから自転車で競馬場へ通勤するなどその姿勢はその外見から受けるイメージ以上に堅実。大学時代には陸上の長距離部門で全日本レベルの選手として活躍したように心身ともにタフで根性も坐っており、調教師、騎手といった関係者からも絶大な信頼が寄せられている。トレセンで収集した情報活用が彼の予想の基本スタンスで業務に対してもなかなか前向き。次代を担う30代の中堅である。
土曜7レース馬単12740円を的中させたのは内炭亨記者。特筆すべきは、先週を含めて4週連続で万馬券をヒットさせている点。彼がトレセンで早朝取材をしていると行き交う騎手や調教助手の方から「今週はこの馬が狙いや」「ええ馬教えるワ」と声がかかる。問いかけて相手が答える場合と、なにも聞いていないのに相手が好意で教えてくれる場合と、どちらが信頼度が高いかは言わずもがな。日頃から馬券専用ネットワークを構築していればこそである。通常業務に関してはどこまでもマイペースの50代のベテランだが、馬券師としてのイメージは内外に定着。いまの時代には数少ない破天荒なタイプである。
弊社には上記の3人以外にも橋本篤史、甲斐弘治、足立雅樹といった個性派で味のある予想を打つスタッフが揃っている。しかし、スペースの都合で彼らの予想を当日版(土日の新聞)に掲載できないのがつらいところ。全競馬場(JRA)の馬券を購入できる時代になってからは紙面に余裕がないため、読者の皆さんに活用可能なデータ類をフルに提供できなくなっているのが社としての悩み。そこで昨年のある時期から予想者の連番を割愛して、読者の方には新聞に載っているQRコードやURLを使って閲覧していただく方式を取り入れている。既にご存じの方も多いと思うが、携帯電話でアクセスして指定パスワードを入れれば無料(パケット通信料は必要)でご覧になれるというもの。この方式なら新聞に予想が載っていない前述のスタッフの予想もチェックできるので、特定の記者に関心のある方は是非ご利用いただきたい。
心身すべてを昭和テイストで覆っている私のような人間にすれば、“QRコード”や“URL”という活字や言葉に出会うたびに頭を抱えてばかり。なかなか前へ進まない。しかし、出版物の売り上げが落ち込み紙離れが進んでいるこの時代に競馬専門紙がどのような方向に進むべきか考えると、紙媒体とPC、携帯電話との連携は必要不可欠でもある。年齢や硬直した脳細胞と戦いながらアラカン世代(アラフォーに対抗するアラウンド還暦世代)の底力を見せてやるぞと密かに燃えているが、その道は限りなく険しい。
競馬ブック編集局員 村上和巳