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ダービー翌日の5月28日、週刊競馬ブックに執筆していただいている方々と我々編集局員との懇親会が都内であった。ライターさんたちと我々の日頃のやりとりはメールが大半で、ごく稀に電話で話す程度。直接お会いするケースは極めて少ない。まして私の場合は勤務地が滋賀県栗東でめったに関東圏の人たちと交流する機会がない。それだけに彼らとは年一回のこの懇親会で初めてお会いするケースがほとんど。今回はこちらが接待する立場でもあり、まずは挨拶をして名刺交換からすべてが始まる。今年も総勢40名が参加する賑やかな宴会となった。
昨年はテンから引っ掛かってホストとしての立場を完全に忘れ去り、飲みまくって喋りまくっている間に会が終了。周囲のひんしゅくを買った。同じ轍は踏まぬと決心して今年はウーロン茶からのスタート。時間をかけつつ初対面の方がいらっしゃるテーブルを順番に回ることにした。まずは朝日新聞の有吉正徳さん。今年から『一筆啓上』を担当していただいている人物だ。気取りがなく温かい雰囲気が伝わってくるのは書く文章そのまま。長く現場取材をされている方らしい人脈の広さにも感心。世代が近いこともあって途中からは古い時代の競馬の話題に熱中。気がつけばビールをグビグビと口に運んでいた。いつものこととはいえ、なんと意志の弱いことか。
このままでは他の方々に挨拶をする前にでき上がってしまいそう。そんな危機感から最初のテーブルを離れ、早めに名刺交換を済ませるべく各テーブルに向かった。斎藤修さんは地方競馬情報誌ハロンの編集長をされていて、今年から一筆啓上のスタッフに加わっていただいている一人。文章を拝読する限りはピリピリしたナーバスな人物を想像したが、挨拶を交わした際の笑顔で印象は一変。なかなか男臭い雰囲気の持ち主である。それからはゲストとして参加していただいているカメラマンやJRA、地全協の方々とも歓談。瞬く間に時間が過ぎた。
この懇親会で人気をほぼ独占したのが『八方破れ』でお馴染みのかなざわいっせいさん。「絶滅品種のかなざわで〜す。絶滅危惧種として国に保護されるのが夢。そうすれば働かなくても生きていけますから」という自己紹介にはじまり、顔見知りのライターさんのスピーチに掛け合いで何度か飛び入り参加。会場内に次々と爆笑を巻き起こした。後半のゲストの方の挨拶で「きょうはナマかなざわさんにお会いできて最高の気分」といった感想が続出。その注目度の高さには恐れ入った。以前に石川ワタルさんから「かなざわは人間嫌いの対人恐怖症。パーティー等にはまず出席しません」と聞いていたのに、意外とも思えるこの活躍ぶり。一瞬は噂と実像のギャップに悩みかけたが、考えてみると過去の懇親会はすべて欠席していた彼。今回は意識して場を盛り上げる演出をしてくれたのだろう。気を配っていただいてありがとうございました、かなざわさん。
途中で唖然としたのは栗東編集局で私と机を並べる水野隆弘のスピーチ。冒頭から「口のうまい村上のあとに挨拶するとなるとなにを喋っていいか……」とくる。おい、おい水野、“口のうまい”とはなんだ、口のうまいとは。それではまるで詐欺師ではないか。“スピーチがうまい”とか“トークが達者な”ぐらいのことを言えんかと抗議しかけたが、冷静に振り返るとたしかに私の挨拶は口先だけの重みのない言葉を羅列しただけ。安っぽい計算や気遣いなど一切せず、いつもストレートな物言いで正論を説く彼にとってはそう映ったのだろう。この真っ直ぐなところが水野らしさであり、彼の持ち味でもあるのだ。まあ、許してやろう(汗)。
懇親会は時間を30分延長して盛況のうちに幕を閉じた。終了後に出席者の大半が幾つかのグループに分かれて二次会へ繰り出したのは当然の成り行き。競馬を生業にしている人間ばかりが一堂に会したとはいえ、それぞれがいかに競馬好きなのかは会話をしていてよく判ったし、もちろん大いに楽しい3時間半だった。最後にはここ数年同様に接待すべき立場を忘れて完全に酔っ払ってしまっていた。年に一回の懇親会ぐらいはもっと毅然とした態度で過ごしたいが、きっと来年も再来年も同じことを繰り返すことになるのだろう。こうなったらかなざわさんに負けず、私も学習能力皆無の人間として絶滅危惧種をめざすしか道はなさそうだ。
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP