・アドマイヤキッス ・サンヴィクトワール ・シェルズレイ ・ソリッドプラチナム ・ニシノフジムスメ ・フサイチパンドラ ・ヤマトマリオン
・インテレット ・キストゥヘヴン ・トウショウシロッコ ・フサイチジャンク ・マツリダゴッホ ・ミレニアムウイング
9月9日(土)午後6時すぎ。家に帰ってパソコンに向かう。いつものこの原稿を早めに書き上げようとしたのだが、後頭部に鉛が入ったように重い。30分ほど散漫に文字を書き殴ってみたが、とてもまともな文章にはなりそうにない。やむなく中断してベッドの横に置いてあった馴染みの出版社から送られてきた新刊書を流し読みしているうちに睡魔が襲ってきた。まあ、やる気がないのはいつものことなのだが(汗)。
8時すぎに目が覚めて煙草を一服するとこれがなんともまずい。煙草の味が判らなくなったり喉が痛くなったりすることは年に何度かあるが、過去の経験からするとこのケースは夏バテか風邪。そういえば、今朝も目覚ましが鳴っているのにすぐには動けなかった。出社してからも集中力を欠き(基本的にはいつもそうなのだが、今回はいつも以上に)、中京、中山、札幌で行われているレース中継にもさっぱり身が入らなかった。レースに身が入らないときは決まって体調不良か金欠。この二種類しかあり得ないのだからなんとも単純な人間である。
このままでは『都合により今週の編集員通信はお休みさせていただきます』と各部署に断りメールを送らなくてはいけない。しかし、この手(休載)は数週間前に一度使ったばかり。まずい。そう考えて再度パソコンに向かってはみたが、さっぱり頭が働かない。仕方なく気分転換にシャワーを浴びてみたが状況はまったく変わらない。え〜い、どうにでもなれと焼酎のロックをチビチビやってみたが、いつもは旨いこの焼酎ロックがまずく感じるのだから困ったものだ。熱は出ていないだけに、この無気力さの原因はどうやら夏バテのようである。
午後10時を回ったというのに依然として原稿は進まない。こうなったら書くよりも読む方が楽だと当たり前の結論に達して知人のブログに順番に目を通す。競馬ライターのブログ、スポーツ関連のブログ、音楽関係のブログ、そして最近になって知人がはじめた釣りブログ……。ネタで勝負する人間もいれば感性を売り物にする人間もいる。破滅型で無茶苦茶な人間もいれば繊細な文章が魅力的な人間もいてその内容は多種多様。すっかりはまってしまって、延々と覗いているうちに日付が変わっていた。
「夏バテという言葉がありますが、“バテる”は古来から日本にあった言葉ではありません。その語源は“疲れ果てる”という言葉からきたもので、“果てる”が濁って“バテる”という極限疲労を表すものに変化したのです。その“バテる”という言葉が一般的に使われるようになったのは昭和30年以降のこと。ですから季語には“夏バテ”という言葉がありません。古来から使われている同義語としては“夏負け”や“夏痩せ”があります。ちなみに、この“バテる”という言葉は競馬用語からきたもの。競走馬が疲れ果てて全力疾走できなくなった状態を表しています」
これは“雑文書き”(自称)を生業にしている知人のブログのなかで見つけたもの。“バテる”の語源が競馬用語だったと知って正直なところ驚き、そして自分の無知をちょっぴり恥じた。最近は本を読まなくなって久しく、このままでは自分自身の“アホ度”が更に加速するだけ。せめてネット上ででも他人の書いた文章に接する機会をつくり、古ぼけてきた脳に刺激を与えなくてはいけない。そう思った。ここまで書いてやっと後頭部の重みが薄れてきたが、そのぶん酔いも全身に回ってきたようなので、最後にCMでこの原稿を終わりにする。
9月6日から“こちら栗東(美浦)編集局”というブログをはじめました。競馬に関する話題、サークル内の人間模様、東西編集局内の様子など内容は盛りだくさん。競馬ファンの皆さんと弊社スタッフの交流の場になればと考えて各人が知恵を絞って原稿を書いていますので、興味のある方は競馬ブックのホームページをご覧ください。
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP