・ゴールドアグリ ・シャルマンレーヌ ・トーセンラピュタ ・ニシノコンドコソ ・マイネヴェロナ ・マイネルーチェ ・マイネルレーニア ・メイクユーハッピー
・アーバンストリート ・アストンマーチャン ・シルバーストーン ・スーサンライダー ・ストラテジー ・ニシノマオ
「仕事の最中に申し訳ないが、いま乗り役(騎手)探しをしてるんです。来週の土曜日(9月2日)に小倉へ乗りにくる地方所属のジョッキーは誰がいるか調べてくれませんか」
「えっ?私(相手の携帯の登録名を確認した上で)、競馬ブックの村上ですが、失礼ながら、現場の誰かとお間違いになっていませんか」
「いいえ、間違ってはいませんよ。あなたにお願いしたいと思って電話したんです。今度の土曜日に鮫島君のお父さん(佐賀競馬所属・鮫島克也騎手)がくるのは判っているんですが、彼以外に誰かこないかと思って」
「判りました。いまからすぐに調べますから、お待ちください」
まるで現場取材をしていた頃にタイムスリップしたような電話内容である。当時は月曜日から日曜日まで延々とそんな電話がかかってきたものだが、内勤に変わって4年半が経過したいまはこの類の電話が激減(たまにはあるが)。それで間違い電話かと思ったのだが、そうではないとの返答。相手が昔から馴染みのT調教師だったこともあって、すぐに気持ちを切り替えて乗り役探しに走った。9月2日の小倉には他にも笠松所属の筒井勇介騎手、兵庫競馬所属の田中学騎手が騎乗すると判明。それぞれの名前を伝えて役目を終えた。その昔はこちらが地方所属騎手を騎乗させるよう勧めても、「そんな騎手なんて知らんし、簡単には乗せられん」という反応が一般的だった。時代も変わったものだとしみじみ思いつつ、久しぶりに味わった現場の感覚は結構楽しかった。
「さっき耳にしたんだけど、武豊が来週の土曜日に新潟に乗りにくるって本当?」
これは弊社・美浦編集局からの問い合わせ。夏の小倉開催の最中で、しかも各スタッフが新幹線で移動している時間帯とあって、なかなか確認が取れない。あれこれ手を尽くして調べた結果、どうやらBSN賞に騎乗する予定だということが判って、美浦にその旨連絡を入れた。今年7月に武豊騎手が福島へ遠征したときは“武豊来る!”と地元の競馬ファンが大喜びしたと聞いた。彼の新潟遠征は約3年ぶりのこと。普段はその姿を生で見ることのできない福島や新潟のファンはさぞかし楽しみなことだろう。
「はいはい、こちらはディープも僕も元気いっぱい。23日に半マイル56秒5の時計を出したけど、ムキになるところもなくいい感じ。全身を使ったいい走りをしてくれました。気候もいいし、とにかく順調です。先日、パリジャン(スポーツ関連記事に力を入れている仏大衆紙)の記者が“ハリケーンランとディープ、どっちが強いでしょう”と質問してきたから“僕自身はディープの方が強いと信じて日々トレーニングを積んでいる”と返事。すると“ここであなたと知り合えたのも縁。その言葉を信じて応援させてもらいます”って言ってくれました。社交辞令もあるんだろうけど、その台詞を聞いて、改めてしっかり仕上げなくちゃいけないなと思いました」
これはディープインパクトの調教担当としてシャンティーに滞在しているご存知池江敏行調教助手。週刊競馬ブックのニュースぷらざ欄に記事を掲載するために、私の方から週1回電話を入れているのだが、受話器越しに人馬ともに元気な様子が伝わってきた。話を聞いているうちに凱旋門賞を見に行きたい衝動に駆られたが、電話を終えてふと冷静になった。こうしてフランスに電話するのに、“まずは0033を押して、それからは、え〜と、国番号を押して、次には相手の番号を……、あれ?つながらない”と何度も何度も失敗を繰り返して大騒ぎ。1本の国際電話をかけるのに一時間近くもかかって周囲のひんしゅくを買った私。これほどまでにドジで国際感覚に欠ける人間が海外に行こうなんて考えること自体が無理。まずはきちんと国際電話をかけられるようにすることが先決。よ〜し、来週は一発で相手につながるように頑張るぞ(なんと低レベルの決意か―汗)。
本来の原稿はここまでで終わるはずだったが、開催日になって武豊騎手が来週(9月2日、3日)は国内で騎乗せず、渡仏するとの電話が入って大慌て。美浦、各競馬場に連絡を入れ、この原稿も差し替えてバタついた。その影響で今日(8月27日、午後1時半を過ぎている)はまだ馬券を一度も購入していないが、狙っていた2頭は午前中のレースでどちらもボロ負け。馬券を買わなくて(暇がなくて)良かったと喜ぶべきか、それとも相馬眼のなさを反省すべきなのか……。どちらにしても人前で誇れることでない情けない話ではある。
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP