・アイポッパー ・ハイフレンドトライ ・デルタブルース ・インティライミ ・ディープインパクト ・トウカイトリック
・ダイアモンドヘッド ・メイショウサムソン ・ドリームパスポート ・エフセイコー ・フサイチリシャール ・トウショウシロッコ ・トーホウアラン
週刊競馬ブックでは『2週前の有力馬チェック』というページがあって、そこでG1レース(ジャパンカップと2歳戦を除く)の2週前に有力各馬の動向を紹介している。通称『2週前レポ』というこのページを作成するのに今週はかなり苦労した。有力馬と目される数頭をピックアップして各馬の近況を担当者に取材してもらい、それを1ページにまとめる。作業自体はごくごく単純なのだが、今年の高松宮記念の場合は確たる中心馬不在の大混戦。メンバーを見渡しただけで眩暈がした。
6〜8ハロン戦でG1を3勝したデュランダルと昨年のこのレースの覇者アドマイヤマックスが引退して世代交代の波が押し寄せているスプリント路線だが、高松宮記念の前哨戦を勝ったのは7歳馬のブルーショットガン(阪急杯)と船橋所属の8歳馬ネイティヴハート(オーシャンS)。新時代の主役となるべき4歳、5歳世代が次々に敗戦を喫してしまうのだから話は台本通りに進まない。通常だと有力馬を8〜9頭に絞って紹介するパターンなのだが、今年に限っては11頭を取り上げる苦肉の策となった。
有力として取り上げる馬の数が決まると次はその扱いが問題。実績、調整過程、潜在人気、話題性といったものを考慮して取り上げる順番を決めるのだが、これがまたしても難解。オーシャンS出走時に大きく馬体が減っていた2頭の順位をある程度下げてはみたものの、他にも「実は体調が思わしくないので出否は未定」という馬もいれば「賞金不足なので出られるかどうか微妙」と別なレースへ予定を切り替えそうな馬もいて、まさに混沌。取材対象が生き物である以上、予定はあくまで予定でしかない。その後も各馬の動向は次々と変化。今回は2週前レポを中止しようと主張して周囲のひんしゅくを買った(汗)。 3月8日にはあるスポーツ紙に『プレシャスカフェ高松宮記念に参戦!』の活字が躍った。すぐに美浦の担当者に電話を入れたが「挑戦のプランはあったんですが、結局は白紙に。使う予定はありません」との返答。そして3月10日には坂路調教担当者から「ラインクラフトがいま52秒8の時計を出しました。宮記念に使いませんかね」と問い合わせが入る。一瞬は焦ったが「ラインクラフトは8日にグリーンウッドから帰厩したばかり。週末に時計を出すと思いますが、4月8日の阪神牝馬Sが目標。祐一(福永騎手)はマルカキセキで宮記念に挑戦の予定です」と担当者から前日に説明があったばかり。スピードで押し切れる中京の1200メートルでこのメンバー構成。ラインクラフトが出走してくれば最有力視されるのは間違いなさそうだが、気性が激しく掛かる気性とあってここでスピードまかせのレースを体験させるとその後のレース選択肢が限られそう。競走馬のローテーションを決めるというのも簡単なものではないのだ。
結局は明け4歳でまだ伸びしろのあるシンボリグランをまずはトップに据えて、7歳ながら馬が変わってきた感のあるリミットレスビッドを2番手に、鞍上がなんとも魅力(これは趣味の領域)のネイティヴハートを3番手に取り上げて区切りをつけた。以下オレハマッテルゼ、コパノフウジン、マルカキセキ、ブルーショットガン……と続けてみたが、ほとんどのメンバーの力関係は紙一重。流れに乗ってスムーズに力を出し切れた馬のところに“競馬の神様が降りてくる”ことになりそうだ。
最後に、すっかりお馴染みになってきた(笑)CMをひとつ。3月13日発行号の週刊競馬ブックは春霞に包まれたトレセン内で運動するディープインパクトと市川明彦厩務員の姿が表紙となっている。レース写真以外のものを表紙に使うのは久しぶりだが、個人的にはまずまず気に入っている。関心のある方は手に取ってじっくりとご覧いただきたい。
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP