・フサイチアウステル ・オペラシチー ・グラスボンバー ・ハイアーゲーム
・マイネルボウノット ・ドンクール ・マルブツトップ ・ヒシアトラス ・サカラート ・ハードクリスタル ・アンドゥオール ・ヴァーミリアン ・タガノゲルニカ
2005年度のJRA賞が発表され、年度代表馬にはディープインパクトが選出された。最優秀3歳牝馬部門ではシーザリオとラインクラフトで9票差の接戦となったが、それ以外の部門では1位馬が順当に票を伸ばしたこともあってスムーズに受賞馬が決定した。週刊競馬ブックでは例年通り各馬の写真、血統、競走データとともにそれぞれの馬をイメージした見出しを付記している。ディープインパクト(年度代表馬、最優秀3歳牡馬)―“21年ぶりの快挙!無敗で三冠達成”といった風に。2年前のこのコラムでも書いたようにひとりの人間が全馬の見出しを考えるとどうしても好みや傾向が偏ってしまいがち。まして担当者がセンスのかけらもないと自負している私でもある。それで編集局の中堅&若手記者に分担して考えてもらうことにしたのだが、今年もそれなりの作品が提出された。 “卓越したスピードで破竹の4連勝”フサイチリシャール(最優秀2歳牡馬)―坂路調教担当の青木行雄、36歳。とにかくひたむきでマイペース。グリーンチャンネル・明日のレース分析や毎日放送『みんなの競馬』に出演中。普段は寡黙であまり自己主張、自己表現をしないが、いざ放送となると想像以上に無難にこなしている。攻めの予想が得意で長打力が売り物。足りないものはパートナー(嫁さん)だけ。 “古馬の貫録を示し念願のG1制覇”ハーツクライ(最優秀4歳以上牡馬)―調教担当の牟田雅直、35歳。「こんなもんでいいでしょうか」と、指示した3分後にこの見出しを提出してきた。天性のセンスの良さと明るさがセールスポイント。競走馬に対する観察眼には定評があり、夏の北海道では厩舎取材を担当することもあるオールラウンダー。これで貪欲さが出てくれば更なるパワーアップ確実。 “自慢の末脚で牡馬をも一掃”スイープトウショウ(最優秀4歳以上牝馬)―編集、調教兼任の西村敬、31歳。とにかく仕事ぶりが緻密で隙がないのがセールスポイント。ならば堅物かというとそうではなく、ギャグも言えばお笑い系にも精通しているからおもしろい。予想に対する姿勢はあくまで前向きで真摯。当然のことながら馬券もなかなか達者である。今年も穴馬を教えてくれよな。 “新大陸に打ち立てた大きな大きな里程標”シーザリオ(最優秀3歳牝馬、最優秀父内国産馬)―編集、調教兼任の坂井直樹、24歳。入社して2年未満だというのに10年選手のような落ち着きがあって風貌も体躯も貫録十分。入社して間もない頃に『主任』というニックネームがついたのも頷ける。主に当日版や週報のメインレース関連の原稿作成を担当している。もう少し現場に慣れて社交的になれば文句なし。 “今年も海外に飛び立つ東洋のマイル王”ハットトリック(最優秀短距離馬)―編集、厩舎取材兼任の足立雅樹、24歳。坂井と同期ながら、こちらはまだ少年っぽさを残す若手。スーツ&ネクタイ姿を見るとついつい「おっ、今日はアルバイトか、学生さん」と声をかけてしまう。人懐っこくてメゲないタイプなので厩舎回りは打ってつけの感。いささかそそっかしい面があるので課題はそのあたり。 “いざアウェイへ!日本が誇る若き砂の異才”カネヒキリ(最優秀ダートホース)―厩舎取材担当の橋本篤史、36歳。どちらかというと我が道を行くタイプの個性派だが、厩舎談話の取材、原稿作成はソツがない。こういった見出しの類いはいとも簡単にひねり出してくる。函館大好き人間で今年も夏の出張を指折り数えて待っていることだろう。今年もローカルの本紙予想、期待してるからな。 “常識破りの連勝劇、3歳馬が3連勝で頂点へ”テイエムドラゴン(最優秀障害馬)―編集、調教兼任の山田理子、年齢は内緒(笑)。入社当初は競馬の専門知識が皆無に等しく、長続きしないだろうと思われた。それがいまでは週報用の原稿、データを作成しつつBコースの採時、調教解説も担当して大活躍。予想でもキッチリと結果を出している頑張り屋さん。今年は無理なときは無理と自己主張しろよ。 型通りの語句を使ってシンプルにまとめる人間もいれば気のきいた言葉を織り込んで綺麗にまとめてくれた人間もいたが、それぞれがそれなりにまとまっていてほとんど無修正だった。もし、全馬の見出しを私が考えたとしたなら、いったい何時間、いや何日を費やしたことか……。想像しただけで頭が痛くなる。新しい時代を背負っていくのは頭が固くなってしまった我々ではなく柔軟な思考ができてパワーのある君たちしかいない。来年もアテにしてるから、よろしく頼むよ、みんな。
競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP