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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
編集部の喧騒






 

◆“編集部の喧騒”

  ケイバブック栗東本社ビル1階は編集部、業務部、公営部門が仕切りなしで同居。50人ほどが机を並べている。それぞれの部署にテレビが設置されており、JRAの過去のレースのVTR、グリーンチャンネル、公営競走、ホッカイドウ競馬、ばんえい専用とその数には限りがない。連日、朝から晩までどこかのチャンネルで必ずレースが放映されている。横殴りの雪が厳しい寒さを伝える帯広の風景があるかと思えば、春を思わせる川崎のエンプレス杯の実況が映し出される。私の背後では、その週のメインレースに出走する各馬の調教VTRが流れ、隣のブースからは交流競走のパドックの様子が中継されている。こんな環境に慣れると周囲の喧騒がごく自然なBGMとして受け入れられるから不思議だ。

 それに加えて、「聞こえへんわ、もっと大きな声ではっきりと話さんかい、あ!失礼、調教師のTさんでしたか。ウチの若いのと間違えて……、すんません。すぐ資料をファックスします」「なに?○○○の写真撮れへんかったて?しゃあない、代わりに△△△撮っといて、あれも有力馬やから」「読者からの問い合わせ?アカン、いま担当者おれへんから後にして」といった電話の声がひっきりなしに飛び交うこの職場。競馬に馴染みのない人間にとっては耐えられない場所だろうが、熱狂的な競馬ファンにしてみればたまらない空間かも知れない。

 先日、編集部で論争があった。「フェブラリーSの2週前レポの前文では春のG1と書いてあって、検討記事では冬のG1となってる。どっちに統一しようか」と校正担当者。「暦の上では春なんやから、当然春が正解やろ」「いや、2月22日ゆうたら、誰が考えても冬や」と意見が真っ二つに分かれた。協議の結果、立春が過ぎていることでもあり、時代や季節を先取りするのもマスコミの使命ということで“春のG1”という表現に落ち着いた。個人的には“早春のG1”だったかなとも思うが、いずれにしても、きちんとした見識がないことには物事を正確に処理できない。こんなことは日常茶飯事なのだから。

 今週から阪神、中京、中山の三場開催がスタート。そして、息つく間もなく本格的な春のG1シリーズの幕が切って落とされる。今年の競馬シーンがどんな展開になるのかはまだ想像の域を出ないが、編集部のこの喧騒は永遠におさまることがなさそうだ。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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