プロキオンSでスターリングローズの重賞初制覇をなし遂げた福永が、口取りの記念撮影のためにウイニングサークルへ現れた時に着ていたものは黄、紫1本輪、赤袖黄1本輪の株式会社協栄の勝負服ではなくて、ワールドカップ日本代表、背番号5稲本のユニフォームといういで立ち。ヘアスタイルも、すっかり有名になってしまったベッカム風とかでえらい凝りよう。にこやかな表情でVサインのポーズも決まっている。のちに、インタビュアーがそのことにひと言も触れてくれなかったことを残念がっていたそうだが……。
福永は熱烈なサッカーファンであり、自身も四位を中心とした騎手会サッカー部でプレイヤーとして活躍している。6月12日長居でのイングランド戦観戦を楽しみにしていたのだが、同日名古屋優駿へミスイロンデルが出走したことで仕事優先、サッカーは諦めざるを得なかった。どうやら、その時に着て行くつもりでユニフォームを買い込んでいたようだ。日本代表を応援している気持ちを2万余のファンに示したかったのかも知れない。
それにしても、馬主やJRAから何のクレームもつかなかったのか、その辺が気になってJRA広報室へ問い合わせてみると「少なくとも、国家を上げて盛り上がっている時でもあるし、JRAとしては水を差すようなことは……。何の注意も出していません。また、馬主さんがどう思ったのか、問題が起きるとすればそちらの方でしょうが、これもトラブルが生じたといったことは聞いておりません」との回答。ひと昔前のJRAを知る者としては、最近とみに四角張った御役所仕事的な面がなくなりつつあるこの変貌ぶりに、内心驚いている。
売り上げ減少傾向に歯止めのかからない現状をわきまえ、ファンの目線の位置まで自分達が下りてきて物を考えるようになった、ということか。なら悪いこっちゃないがな。
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