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桜花賞が馬連85番人気で34440円に沸いた1週間後、76番人気で53090円の高配で続いた皐月賞、池江師もまるで他人事、目を丸くして驚いていた。新馬、特別と連勝してきていた時でさえ、外へ逃げたり、内へササッたりして気の安まる時がないぐらい乗り役に重圧をかけていた難物。まだまだ完成に至っていない段階ではよくあることだが……。
攻め馬は、動き、時計ともにごく平凡。1度として1番人気に推されたことがなかったのは、相手関係もさることながら地味な稽古を敬遠されたのだろう。その原因はソエが固まり切っていなかったところに起因する。そんなノーリーズンも、皐月賞の直前追い切りでは片鱗を示すように、ラストの1ハロンで11秒9という、それまでを知る人にとっては信じられないぐらいの脚を使ってみせた。過去3戦を大幅に上回る体調の良化を明示するものであり、その発せられた注意信号をうっかり見落とした者が悪い?
4角でファストタテヤマに外へ張り出されたり、その後もリゼルヴァとぶつかり合う等、キャリアの浅い若駒を萎縮させるには十分事足りるアクシデントの発生で惨敗した若葉Sの衝撃は、強く後へ尾を引いた。それと、出走が抽選の結果待ちだったことも重なって、検討の死角に入っていたのが手伝って低人気になったものと思う。
栗東入厩当時はクラシックの有力候補の呼び声の高かったエリートの1頭。ソエを気にしなくなれば、より一層能力開発に磨きがかけられ、本格化への道を急ごう。ダービーも騎乗依頼を受けて欣喜雀躍したドイルは、あろうことか香港に所有する財産に関してトラブルが発生し、大望を眼前に離日しなければならなくなり、新たな騎手探しに直面しているが、本格化さえすればテン乗りで手に負えないタイプではないはず。ナリタブライアンの皐月賞レコードを0秒5も更新した大器だ。あの調子で行くなら錦上花を添えダービーも桁違いの勝ち方をしておかしくない。このことは非常に残念であり、将来に禍根を残さないことを願うばかりである。
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編集局長 坂本日出男
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