シルクロードSのトップハンデはトロットスターの59.5キロであった。これに疑問を持たれた方が結構多かった。つまり「軽過ぎるじゃあないか」といった主旨のご意見。G1の高松宮記念、スプリンターズステークスをともに57キロで勝っているし、オープン特別オーロカップから4連勝した中には58キロのシルクロードS(G3)も含まれていた。連勝したというだけで3キロぐらい上積みされたケースはある。その伝でいけば61キロを課せられても別段おかしくない。大台60キロに満たないのは変ではないか? との素朴な質問。至極ごもっともである。
ただし、トロットスターだけが軽いのであればそうなのだが、実はそうではない。オープン特別を55キロ、56キロで連勝してきているサイキョウサンデーの場合も、通常のパターンからいけば2ないし1キロアップされるところを、増えるどころか逆に1キロ減の55キロ止まりに押さえている。つまり、トロットスターを軽くしている分だけ、他もそれ相応の軽減をすることによってバランスを保っているわけだ。これは決して間違ったやり方だといえない。極端にならない範囲内にまずトップハンデを設定し、それを基準として各馬漸減させて行くやり方、逓減法といったものがあり、今回はその方法でハンデがつけられたのだろう。その利点は呼び物になる看板役者が、抵抗なく出馬できる環境を作り出す役割を果たす。従前に比較されると矛盾は生じるものの、そのレースに限れば、出走全馬をひとつの物指しで測っているので平等の扱いといえ、まったく問題はない。
もっとも今回のハンデを以後に当てはめると混乱の原因になる。こういったケースはあくまでも特殊であり、その場限りにしなければならない。そこのところはハンデキャッパーが協議してやるので、コンピューターでは困難な調整もスムーズに解決できる。人の手でやれることは善きにつけ悪しきにつけ機械と違って融通がつくことだ。
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