編集員通信


“ブック記者水野の血統本”

 弊社の血統担当記者、水野隆弘が、この7月に株式会社サラブレッド血統センターを発行所とする「競馬血統派宣言」という本を出版した。当人曰く“どちらかと言えば、血統派なんですが……”ぐらいの感じのつもりなので、タイトルの示す血統派宣言という力んだものではないそうだが、そこは商品だけに、発行先の言い分も無視するわけにいかず押し出しの強いものになった由。「記録を残さなければただの馬の競走に過ぎないものを、文化にしたのは血統でしょう」とは社台ファーム前社長、吉田善哉氏の名言。

先きを予知して配合を決めるのになくてはならないのが血統。実際問題、勝馬検討における重要性となると微妙なところで、あって邪魔にならない、なくても良いという声がなくもない。ただし、データとして持っていない部分の推理は血統が不可欠で、例えば4歳馬が初めて3000m以上に挑む菊花賞(最近は同距離の嵐山ステークスが組まれている)果たしてスタミナが保つのかどうかを知りたい場合、或いは芝やダート、そして道悪に対する適性を推理する有力な手段となるのが血統。“血統は知れば知るほど面白いもの”この本は、血統とは馬券を離れても独自の楽しみが見い出せるものであることを如実に伝えている。競馬ブックGT増刊号のコラムの集大成で、手前ミソにはなるが、出来る限り多くの人に読んでもらいたい良質の1冊だと思う。
編集局長 坂本日出男

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