編集員通信


“バイオリズムの利用法”

 週刊誌のリーディング・ジョッキー欄にある「今週のバイオリズム」。あれはどのように利用したらよいのか、という質問があった。バイオリズムというのは、20世紀の初め、ベルリン大学のウイルヘルム・フリーズ博士によって、体のリズムは3つ存在することが発見された。ひとつは、肉体を支配する23日周期のP(身体のリズム)そして、感情に影響する28日周期のS(感情のリズム)、もうひとつは思考力に関連する33日周期のI(知性のリズム)。

 競馬は言う迄もなく馬が主体となり騎手は補助に過ぎない。幾ら騎手の状態が良くとも、馬に力がなければ勝てるわけがない。逆に馬が能力もあり、状態は良くとも騎手のリズムが悪く、ミスリードによって敗れるケースはある。ミスする危険性がどの程度あるのかを予測する尺度のひとつとして利用される。
 まずPのリズム、これは単独では殆ど問題にならない。どれか別のリズムとの組み合わせによって影響を及ぼすもので、SやIのリズムが良い場合、このリズムがマイナス圏なら最大限にS、Iの良さが引き出されるので、最良の配合と言える。すべてのリズムがプラスにあっても完璧でない。同様に、すべてマイナスリズムだからと言って最悪ではない。
 ただこれだけは言える。重要なのは思考力、創造力、記憶力等の精神活動に繋がるリズム(知性のリズム)の善し悪し。他の2つのリズムが例え注意日であろうとも、このIのリズムがプラス圏にある限り全てを帳消し出来るものと考えて差し支えない。
 実際問題、バイオリズムが直接勝敗にかかわってくるのはGI等のビッグレース。それも人気を集めている馬に騎乗している時。プレッシャーのかからない状況下では、殆どリズムの影響は受けないと考えてよい。一般レースとなると、幾ら人気馬であろうとも、リズムによって勝敗を左右されることは稀だ。武豊や蛯名あたりになると、どんなに重圧を感じる立場にあっても、リズムに影響されるケースは少なかった。かつて、福永洋一さんがそうであったように、例外の部類に入る。キャリアの浅い騎手ほどリズムは重要視される。

編集局長 坂本日出男

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