編集員通信


“えらい気合の二分師ツヨシ”

 第45回有馬記念競走ファン投票の集計結果の最終発表が、12月7日にJRA報道室よりファックスで届けられた。有効投票総数は155万票。

 この結果を人一倍やきもきしながら待ち焦がれていたのは二分調教師ではなかったろうか。1930年12月29日生まれの師は、来年の2月一杯で定年を迎える。過去に獲得した重賞は、80年ノースガスト、97年マチカネフクキタルによる菊花賞を含めた23勝。このままで終わってしまうのはいかにも不本意。と言うのは、非凡な才能を秘めながら、体質の弱さが順調な成長を妨げて、6歳にして10戦しか出走出来なかったツルマルツヨシを何とかして男にしてやりたいと願い続けてきながら、夢を叶えてやれなかったことへの悔いをいまだ引き摺ったままでいるから。

 これ迄もチャンスがないわけではなかった。グラスワンダーと共に仕掛け、一旦は抜け出した途端に内へモタれて伸びず、スペシャルウィーク、テイエムオペラオーにも差されて0.1秒差の4着に終わった99年の有馬記念。4角ではグラスワンダーより手応えが良かっただけに、藤田も非常に残念がっていた。同時に、来年になればもっと強くなる馬だとの確信を得ていたそうだ。騎手がそう思ったと同じように、調教師もその内容に意を強くしており、以後、有終の美を飾るべき周到な計画で、20世紀最後の有馬記念を目指してきた。

 出走するにはファンの支持が必要。ファン投票上位10頭の内に入れるかどうか。万が一それがダメでも収得賞金による機会がないわけではないが、99年12月25日以降を対象とした条件の(イ)に該当する成績はゼロに等しい。発表によるとランク11位。上位の3頭ばかりが出走回避の意志表示をしているので、出走出来ることは確定的となっており、何とか二分師の願いがかなえられた。そこで注目されるのは今後の調整。本来坂路は補助的な利用で、本仕上げはCWかDWかを使用していた。それを今年の放牧明けから坂路主体に変更。プール調整を混じえて、二分師一世一代究極の仕上げで勝負を賭けてくる。“やったるで、見といてや・”やて。エラい気合。見せて貰いまんがな。見らいでか。

 

編集局長 坂本日出男

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