“トライアルと本番、馬場の違い”
3着迄に優先出走権の与えられる桜花賞トライアル、チューリップ賞は、生憎の雨の中、馬場一面水浸し不良の状態で行なわれた。見た目ほどの荒れ馬場ではなかったので、古馬なら我慢が利いていたようだが、神経過敏な4歳牝馬の集団にとっては、かなり厳しい競走条件であったようだ。レディミューズ(2着)の岡部は“来るには来たが、こういう馬場は決して上手ではない”と言っていたし、勝ったジョーディシラオキの武幸四郎でさえ“最後の直線は止まっていた。しかし、後から誰も来なかったので勝てたわけで、恵まれた”と言う。非力なサマーベイブは後方のままなす術もなく終わり、1番人気チアズグレイスは“ノメるところはなかったのに、追い出すと伸びない”と首を傾げている。厩舎側に気遣って余計なことは喋りたくない、という気持ちが松永幹に働いたのだろう。まだ太かったし、大飛びのフットワークだから、一般的に言っても道悪は不向き。そもそも、こんな馬場になるとは予想作業の段階で思いも及ばなかった。よしんば、馬場状態を的確に把握していたとしても、ジョーディシラオキの逃げ迄は考えられないし、ごく一部の人を除いて、こんなに頑張るとは想像も出来なかったろう。 |
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