“障害物回避にもマナーあり”
12月19日 第5回阪神6日目9R、さざんか賞で、前を走っていたアマノシェーバーが向正面で急に内側へ逃避し、内柵に触れて騎手が落馬するアクシデントが発生した。 後続の集団の先頭にいたオグリビーナスの安藤勝が、転倒している小池騎手を避けるために急激に外側へ斜行した。そのことでケイエスブルボン、ダイワミシガン、マークオー及びアイランドパレスの走行を妨害する形となった。オグリビーナスは6位に入線したが15着に降着処分され、安藤勝には12月25日から26日まで、実効2日間の騎乗停止が科せられた。 前にある障害物を避けるのは、身の安全を図る上で当然の行為であり、騎手は本能性に行動を起こす。それは、第三者から責められるべき種類のものではないはずだが……。 しかし、それも状況によりけりで、行動を起こすにあたり、左右を確認するだけの時間的な余裕の有無。裁決委員は、余裕があったと判断した。他に危険を及ぼしても、自分さえ良ければ構わないのか?現実に、2頭の間に入って馬体が接触したケイエスブルボンは、532キロの超重量馬だけに幾らか衝撃は少なくてすんだと言うものの、村本はバランスを崩して落馬寸前の状態にまでなっていた。そう詰問されれば返す言葉もない。 安藤勝の反射神経が人並みはずれて鋭いがゆえにこんなことに至った。又、オグリビーナス(調教再審査を命じられた)が、キャリアの浅い3歳馬、しかも神経過敏な牝馬だったことで、過剰に反応したことも重なった結果だった。落馬との因果関係がありながら、別件として切り離して判決が下された珍しい一件だった。競馬記者を含めたサークル内での評価も、安藤勝が気の毒と言う意見と、仕方ないと言う意見と半々。 編集局長 坂本日出男
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